この記事では、〈助動詞〉の種類や分類について扱います。
『助動詞』と聞くと、will や can などを真っ先に思い浮かべますが、実は〈受動態〉や〈進行形〉に使われる beも助動詞 です。
今回の記事では、
- 助動詞の分類
- 法助動詞
- 相助動詞
- 疑似法助動詞
このような一歩踏み込んだ〈助動詞〉の種類や分類について見ていきましょう。
助動詞の分類の全体像
英語における助動詞は以下のように3つの種類に分類されます。
より詳細な分類については、この記事の後半で触れています。
ここからは、
② 相助動詞
③ 疑似法助動詞
についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
① 法助動詞 (modal auxiliary verb)
まず〈法助動詞〉についてです。
現代英語における〈法助動詞〉は全てで以下の11個です。
この分類では、現在形(原形)と過去形を別に扱っています(例えばwillとwouldなど)。確かに両者は時制の違いとも取れますが、やはり推量の度合いなどにおいて明確な違いが生じるため、それぞれ別のものとして分類します。
2. 後ろに動詞の原形をとる
3. 〈法助動詞〉の後に〈法助動詞〉を使えない
4. 話し手(書き手)の〈心的態度〉を表す
1つずつ見ていきましょう。
1. 主語によって変化しない
× He cans play the piano well.
この話に関連してもう1つ付け足すと、〈法助動詞〉は、「~ing形(動名詞と現在分詞)」と「過去分詞形」にも変化しません。このように、「3単現のs形」、「~ing形」、「過去分詞形」を持っていないことから、〈法助動詞〉は〈欠如動詞〉という名称で呼ばれる場合もあります。
その理由とは、今の〈法助動詞〉(のほとんど)は、もともと動詞の過去形であったものを借りてきたものだったからです。つまり、「3単現のs」や「~ing」が付くのは、動詞の原形の末尾であるため、もともと過去形であった〈法助動詞〉に付くはずがありません。かくして〈法助動詞〉は〈欠如動詞〉という名称を手にしたのです。(学習者にとっては3単現のsなどを付けずに済むのは喜ばしいことですが、法助動詞からしたら「欠如」という名前はあまり嬉しくない響きですね…)
2. 後ろに動詞の原形を取る
× He can plays the piano well.
3. 法助動詞のあとに法助動詞を置けない
× He will must study English.
↑〈法助動詞〉+〈相助動詞〉
↑〈法助動詞〉+〈疑似法助動詞〉
4. 話し手の〈心的態度〉を表す
例えば、『mayは確信度合いが低く、mustは確信度合いが高い』という言葉を聞いたことがあるかと思います。
実は、その『確信度合い』というものが〈心的態度〉です。つまり、〈心的態度〉とは、
と解釈しても良いかもしれません。
そして、前述の11個の〈法助動詞〉は、全て〈心的態度〉を表すという特徴を持っているのです。
法助動詞の4つの特徴のまとめ
以上が〈法助動詞〉の4つの特徴でした。
2. 後ろに動詞の原形をとる
3. 〈法助動詞〉の後に〈法助動詞〉を使えない
4. 話し手(書き手)の〈心的態度〉を表す
それぞれの法助動詞について
個別の〈法助動詞〉についての記事は別途作成していきます。
法助動詞 will
will については、4つの記事に分類して「willのすべて」を扱っています。
法助動詞 can
can については、4つの記事に分類して「canのすべて」を扱っています。
② 【助動詞】can と be able to の10個の違い
④ 【助動詞】なぜ can not ではなく cannot なのか?
法助動詞 may
may については、2つの記事に分類して「mayのすべて」を扱っています。
② 【助動詞】can と may の『許可』の違い (canの欄にも記載)
法助動詞 shall
法助動詞 must
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〈相助動詞〉の個別記事作成中。
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以上で助動詞のうちの1つである〈法助動詞〉については終了です。
②相助動詞
次に〈相助動詞〉を見てみましょう。
(簡易的に分けると)〈相助動詞〉は3つあると言われています。
(2) 進行形・受動態の be
(3) 疑問文・否定文・強調の do
(1) 相助動詞have
〈相助動詞〉の have は、〈完了形〉で用いられます。
〈完了形〉における have は、〈助動詞〉なので、後ろの〈過去分詞〉とまとめて動詞(句)になります。
(2) 相助動詞のbe
〈相助動詞be〉の用法は、主に2つあります。
- 〈進行形〉に使われる be
- 〈受動態〉に使われる be
・〈進行形〉におけるbe
〈進行形〉における be は、〈助動詞〉なので、後ろの〈現在分詞〉とまとめて動詞(句)になります。
つまり、「be+~ing」が動詞句だということです。
・〈受動態〉における be
〈受動態〉における be は、〈助動詞〉なので、後ろの〈過去分詞〉とまとめて動詞(句)になります。
つまり、「be+p.p(過去分詞)」が動詞だということで
〈受動態〉の be を〈助動詞〉として捉えることは、『受動態の文型』に大きな影響を与えます。
『受動態の文型』についてはこちら↓
*補足説明 *
当然ですが、次の例文における be は〈助動詞〉ではなく、〈動詞〉です。
‣She is in the kitchen.
『be動詞の捉え方』についてはこちらの記事も参考になるかと思います。
(3) 相助動詞のdo
〈相助動詞〉のdoの用法は、以下の3つあります。
- 疑問文の do
- 否定文の do
- 強調の do
・疑問文のdo
・否定文のdo
・強調のdo
〈相助動詞〉のおさらい
(2) 進行形・受動態の be
(3) 疑問文・否定文・強調の do
相助動詞の特徴
ここまで見てきてお気付きだと思いますが、〈相助動詞〉は〈法助動詞〉と振る舞いが大きく異なります。
② 後ろに動詞の原形をとる
③法助動詞の後に法助動詞は使えない
④ 話し手(書き手)の心的態度を表す
→意味的な働き
② 後ろに現在分詞・過去分詞を取る
③ 法助動詞の後は相助動詞が使える
④ 話し手(書き手)の心的態度を表さない
→文法的な働き
〈法助動詞〉において、②と③はdoには当てはまりません
このように比較してみると、学校文法でwillやcanなどの法助動詞だけを「助動詞」として、進行形や受動態で使うbeを助動詞して扱わないのも納得ですね。
以上で〈法助動詞〉についての説明は終了です。
最後に3番目の〈疑似法助動詞〉について見てみましょう。
③疑似法助動詞
〈疑似法助動詞〉は以下の6つです。
be going to や be able to において、be going や be able の箇所を〈疑似法助動詞〉と見なす立場もあるようです。つまり、その後ろの〈to 動詞の原形〉は助動詞の一部には含まないという立場です。
〈疑似法助動詞〉の名前に『疑似』という言葉がついているのは、「純粋な〈法助動詞〉」と似たような意味をもつからです。
前述の〈法助動詞〉と関連させると次のようになります。
疑似法助動詞の特徴
疑似法助動詞の用法について
〈疑似法助動詞〉のそれぞれの用法や〈法助動詞〉との違いについても個別に記事を作成する予定です。今しばらくお待ちください。
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全体像をもう一度
最初にお見せした助動詞の全体像をもう一度見てみましょう。
【応用編】さらに詳しい分類
せっかくなのでもう少し専門的な分類や用語を付け足した階層構造もご紹介します。
分類や用語をもう少し登場させると、以下のようになります。
今回の内容は以上になります。
今回は『助動詞の種類・分類』をメインにご紹介しましたが、それぞれの助動詞についても今後更新されていくので、ぜひまたお立ち寄りいただければ嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。
英語の助動詞を本格的に学習したいなら、この1冊が最適です。英語の助動詞について、これ以上ないくらい詳しく分かりやすく書かれた1冊です。
参考文献
- 安井稔 (1983)『改訂版 英文法総覧』開拓社
- 井上永幸 他 (2010)『ウィズダム英和辞典』三省堂
- 吉波和彦 他 (2011)『ブレイクスルー総合英語(改訂二版)』美誠社
- 大西泰斗、ポール・マクベイ (2017)『総合英語 FACTBOOK これからの英文法』桐原書店
- 中野清治 (2014)『英語の法助動詞』開拓社
- 佐藤芳明 他 (2009) 『レキシカル・グラマーへの招待 -新しい教育英文法の可能性』開拓社
- 中野清治 (2014) 『英語の法助動詞』開拓社
- 吉波和彦 他 (2011)『ブレイクスルー総合英語』美誠社
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