【助動詞】法助動詞 can の用法とコアイメージ

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この記事では、 法助動詞 can を取り上げます。

can の用法の中には、『能力』、『可能性』、『容認・許可』、『推量』の意味がありますが、

今回は、そんな canのあらゆる「用法」とそこに共通する「コアイメージ」を見ていきましょう。

法助動詞can の「用法」と「コアイメージ」
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 結論: can の用法とコアイメージ

いきなりですが、結論をお伝えします。

助動詞 can の持っている用法・意味コアイメージは以下の通りです。

例文

  • I can speak two languages. (能力)
  • Dogs canbite your hand. (可能性)
  • You can smoke here.  (容認・許可)
  • Can this rumor be true? (推量)
  • The story cannot be true. (推量)
コアイメージcan コアイメージ
ここから先は、この結論を深掘りする形で解説していきます。
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はじめに:助動詞そのものについて

本編の can の説明に入る前に、助動詞そのものについて軽くお話させていただきます。

今回のメインとなる can は、〈法助動詞〉と呼ばれる助動詞の1種です。

〈法助動詞〉には、will, must , may などが含まれます。つまり、学校文法で「助動詞」と呼ばれるものの正式名称が〈法助動詞〉ということです。
(裏を返せば学校文法では「助動詞」と呼ばれていない〈助動詞〉も存在するということです)
【参考記事】【助動詞】助動詞の種類・分類について

そんな〈法助動詞〉には、2つの種類の用法が存在します。

法助動詞の2つの用法

今の段階では、それぞれの用語の意味が難しく感じられるかもしれませんが、具体的な用法や例文を見ていけば、最後にはこの意味も理解していただけるはずです。

そして、法助動詞 canにも当然この2種類の用法が存在します。

この記事では、can〈根源的用法〉〈認識的用法〉をそれぞれご紹介します。

そして最後に、それらの用法に共通するコアイメージを詳しく見ていきます。

記事の流れ‣can の〈根源的用法〉

‣can の〈認識的用法〉

‣can のコアイメージ

それでは本編に入っていきましょう。

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canの〈根源的用法〉

can〈根源的用法〉には、次の3つがあります。

can の根源的用法『能力』『可能性』『容認/許可』

①『能力』を表す

手始めに、can の最も有名な『能力』を表す用法です。

【能力】I can speak two languages.
「私は、2カ国語を話すことができます」

Q. be able to との違いは?

can『能力』と言えば、be able to との違いは何か?」という話題がよく上がります。

文法的な話をすれば、「~できた」という過去の『能力』を表す場合は、can の過去形 could(特定の場合を除いては)使用できず、was(were) able to~ が使用されます

このような「can と be able to の違い」は、この記事でまとめてあります。

【助動詞】can と be able to の違い

この記事の最後にも再度リンクを貼ってあります。

 補足説明

この『能力』の用法は、そこまで難しくはないのですが、1つだけ注意すべき点があります。
実はこの『能力』の用法は、場面に応じて『申し出』『依頼』の意味を代用的に表すようになります。
【申し出】We can tell it again, if you wish.
「もしお望みなら、もう一度お話しますよ」
【依頼】Can you pass me the salt?
「塩を取ってくれませんか?」

ここで重要なのは、「代用的に」という点です。つまり、本来 can には『申し出』や『依頼』の意味はありません。

しかし、使われる場面に応じて『申し出』や『依頼』の用法を結果的に表すようになります。

このような使われ方を、〈語用論的用法〉と言います。

〈語用論用法〉をもう少し詳しく
〈語用論的用法〉とは、日本語の「時計持ってる?」という表現が場面/状況によっては「時間教えて」という意味で伝達されるのと同じ理屈です。言うまでもなく「時計持ってる?」という言葉そのものには「時間教えて」という意味はありません。しかし、場面や状況(=コンテキスト)によっては「時間教えて」という意味として伝達されることになるのです。言語学では、「言語そのものが持っている意味」を対象にする言語学を(狭義の)〈意味論〉「特定のコンテキストにおいて伝達される意味」を対象とする言語学を〈語用論〉と呼びます。(「広義の意味論」では、語用論も含まれます)

②『可能性』を表す

2つ目の〈根源的用法〉は、『可能性』を表すものです。

【可能性】Dogs can bite your hand.
「犬は人の手を噛むことがある」
【可能性】Monkeys can peel a potato.
「猿は、ジャガイモの皮を剥くことがある」
Monkeys can peel a potato. は、「猿は、ジャガイモの皮を剥くことができる」のように『能力』の用法として解釈することも可能です。文脈で判断するしかありません。

この『可能性』の用法は、3人称の主語に対して用いられることが一般的です。

この『可能性』の用法は、『性質・傾向』と呼ぶこともできるかもしれません。この『性質・傾向』の意味合いは、「反復的に実現可能」というイメージから生み出されます。

③『容認 / 許可』を表す

can の最後の〈根源的用法〉は、『容認/許可』を表す用法です。

【容認/許可】You can smoke here.
「ここでタバコを吸っても良いですよ」

Q. mayとの違いは?

can は『容認・許可』の用法を持っていますが、may の『容認・許可』との区別は、〈権限の所在〉と言われています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

この記事の最後にも再度リンクを貼っています。お好きなタイミングでご覧ください。
以上で3つの〈根源的用法〉の説明は終了です。
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canの〈認識的用法〉

〈認識的用法〉を見ていく前に、用語のおさらいをしておきましょう。
法助動詞の2つの用法

can〈認識的用法〉は、『推量』の1つのみです。

『推量』を表す

【推量】Can this rumor be true?
「その噂は本当だろうか?」(本当のわけがないだろう
)
【推量】The story cannot be true.
「その話は本当のはすがない」
【補足説明】
上の2つの例文を見てお気付きかもしれませんが、can の〈推量〉の用法は、疑問文と否定文のみに用いられます。

助動詞canを使った場合と使わない場合の違い

以下の (1)と(2) はそれぞれ違う意味になるのでしょうか?

(1) Is this rumor true?
(2) Canthis rumor be true?

(1) This story isn’t true.
(2) This story cannot be true.

答えとしては、(1)よりも(2)の方が、強い感情色彩を帯びるようになります。

(1)は、「この噂は本当ですか?」、「この話は本当ではない」といった純粋な事実の否定です。

その一方で(2)では、「この噂は本当だろうか?、いや本当のわけがないだろう」、「この話はどう考えても本当のはずがない」といった遥かに強い疑念・否定を表します。

このような背景を踏まえると、法助動詞 can〈認識的用法〉の用語の意味を理解し易くなるのではないでしょうか?
法助動詞の2つの用法
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can の用法のまとめ

以上で can〈根源的用法〉〈認識的用法〉の説明は終了です。

今まで見てきた用法を整理しておきましょう。

【根源的用法】
I can speak two languages. (能力)
・Dogs canbite your hand. (可能性)

・You can smoke here.  (容認・許可)

【根源的用法】
Can this rumor be true? (推量)
・The story cannot be true. (推量)

ここから先は、これらの can の用法・意味に共通するコアイメージを扱っていきます。

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can のコアイメージ

ここまで can の用法を見てきましたが、それらに一貫したコアイメージは存在するのでしょうか?

今回は、〈根源的用法〉『能力』『可能性』『容認・許可』3つに共通するコアイメージを提案させていただきます。

can コアイメージ

このイラストの意味を説明します。

①左側のイラスト 
左側の「鍵を差し出しているイラスト」は、『許可・容認』を表しています。右側の「宝箱を持った人間」(②)に向けて鍵を差し出すことで、相手に「行為・動作」(ここでは宝箱を開けるという行為)を許可・容認しています。
②右側のイラスト 
右側の「宝箱を持った人間のイラスト」は、『能力』『可能性』の用法を表しています。『能力』を表す理屈は、①で示した「差し出された鍵」によって、宝箱を開ける『能力』を獲得するからです。また、『可能性』を表す理屈は、「差し出された鍵」を受け取って宝箱を開けるかどうかは確定事項ではなく、「開けないこともあれば開けることもある」といった意味合いになるからです(詳しくは【補足】を参照)
【補足】
少し難しい話をすると、can『能力』は、行為の遂行・実行までを包括していません。つまり、「その能力を持っていたとしても、その能力を使って行為を遂行・実行するかは確定的ではない」ということです。今回の話で言えば、「鍵を受け取って、宝箱を開ける能力を持っていたとしても、その能力を使って実際に宝箱を開けるかは確定的ではない」ということになります。
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 全体のまとめ

今回の記事では、法助動詞 can のあらゆる用法・意味と、そこに共通するコアイメージを取り上げてきました。

ポイントをまとめます。

・〈法助動詞〉 には、〈根源的用法〉と〈認識的用法〉の2種類がある。

can〈根源的用法〉は、『能力』『可能性』『容認・許可』
can コアイメージ

can〈認識的用法〉は、『推量』(疑問文・否定文のみ)

参考文献

・安井稔 (1983)『改訂版 英文法総覧』開拓社
・吉波和彦 他 (2011)『ブレイクスルー総合英語(改訂二版)』美誠社
・大西泰斗、ポール・マクベイ (2017)『総合英語 FACTBOOK これからの英文法』桐原書店
・中野清治 (2014)『英語の法助動詞』開拓社
・佐藤芳明 他 (2009) 『レキシカル・グラマーへの招待 -新しい教育英文法の可能性』開拓社
・井上永幸 他 (2010)『ウィズダム英和辞典』三省堂

関連コンテンツの再掲示

今回の記事の途中で紹介してきた「関連記事」のリンクを最後にまとめ直しておきます。

① 助動詞の全体像について 
【助動詞】助動詞の種類・分類について

can と be able to の『能力』の違いについて
【助動詞】can と be able to の違い

can と may の『許可・容認』の違いについて
➤ 【助動詞】can と may の『許可』の違い

 

can 以外の助動詞についても、かなり詳しく扱っています。

今回もご覧いただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。

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