- 長文の途中で時間が来て、最後まで解けない
- 読み終わったのに、内容がほとんど残っていない
- 設問を見てから、また本文を頭から探し直している
- どの順番で手をつければいいのか決まっていない
英検の長文で時間が足りなくなる人の手順には、共通点があります。本文を上から下まで読み切ってから、設問に目を移しているという点です。
この順番だと、読んでいる最中は何を探せばいいか分かりません。目的が決まっていない読み方は、どうしても遅くなります。そして設問を見た後、もう一度本文へ探しに戻ることになります。
この記事で扱うのは、その順番を入れ替える手順です。読解の速度は変えません。読む前に探す対象を決めるだけです。
書き手は英検1級の保持者で、国内でも規模の大きな英語サービスの運営に関わってきました。手順の根拠は、公開されている過去問と、英検協会が示している出題形式に置いています。

長文を読み終わったころには、最初のほうの内容を忘れてるんです…

覚えようとして読んでるからだね。英検の長文は、全部覚える必要がない作りになってるんだよ。

どういうことですか?

設問が、本文の段落と同じ順番に並んでるんだ。だから1問ずつ、その段落だけ読めば済む。
- 本文と設問を、どの順番で行き来するかの具体的な手順
- 設問と段落の対応関係と、それを使って探す範囲を狭める方法
- 最後の1問だけ性質が違うという事実と、その扱い方
- 時間が足りなくなったときに、何を残して何を捨てるかの基準
- 結論:全部読んでから設問を見るのが、いちばん遅い順番になる
- 設問を先に見ると、読む前に探す対象が決まる
- 設問は、本文の段落と同じ順番に並んでいる
- 最後の1問だけは、本文全体が対象になる
- 探す範囲は、前の問で止まった場所の続きから
- 段落の先頭を読むだけで、話の向きは決まる
- 級によって、長文の構成そのものが違う
- 語句空所補充は、内容一致とは読み方を変える
- 正解の選択肢は、本文を言い換えている
- 印をつけると、確認のために戻る回数が減る
- 時間が足りないときは、長文ではなく設問を捨てる
- Eメール形式の長文は、探す場所があらかじめ決まっている
- 長文は、短いものから先に手をつける
- 時間を計らない演習では、この手順は身につかない
- 2週間で手順を体に入れる進め方
- 長文の処理でやりがちな失敗が4つある
- 英検の長文に関するよくある質問
- まとめ:読み始める前に、探すものを決めておく
結論:全部読んでから設問を見るのが、いちばん遅い順番になる
まず主張をはっきりさせます。読む速さの問題ではなく、順番の問題だという立場です。

- 本文を先に全部読むと、二度読みが確定する:設問を見た後、また探しに戻ることになります
- 設問は本文の順に並んでいる:だから探す範囲は、毎回すぐ次のところにあります
- 最後の1問だけ性質が違う:ここを見分けられると、無駄な読み直しが消えます
読解の速度を上げる練習は、成果が出るまでに時間がかかります。一方、読む順番を入れ替えるのは、今日の演習から変えられます。
この記事が扱わない話
なぜ間に合わないのかという原因の切り分けは、ここでは扱いません。原因が語彙にある人は、手順を変えても止まる場所が変わらないからです。
その判定は英検リーディングの原因を切り分けた記事にまとめてあります。時間をかければ読める段階に来ていることが、この記事の前提です。
読み終わったときの到達点
最後まで読むと、次の演習からそのまま試せる手順が手に入ります。順番を変えるだけなので、準備は要りません。
- 長文を開いたとき、最初にどこを見るか
- 1問解いたあと、次にどこへ行くか
- 時間が足りなくなったとき、何から捨てるか
設問を先に見ると、読む前に探す対象が決まる
手順の起点はここです。本文を開いても、すぐには読み始めません。

設問文だけを1つ読む
最初にやるのは、1問目の設問文を読むことです。選択肢はまだ見ません。
設問文は多くの場合1行です。「誰が何をしたのか」「なぜそうなったのか」といった問いの形が分かれば、それだけで探す対象が決まります。
選択肢まで先に読まない理由
選択肢を4つとも先に読むと、抱える情報が一気に増えます。設問文だけなら1行、選択肢を含めると5行ぶんです。
しかも選択肢のうち3つは誤りです。先に読むと、誤りの内容が頭に残ったまま本文へ入ることになります。これは探す作業の邪魔にしかなりません。
探す対象は日本語の一語で持つ
設問文を読んだら、探すものを短い言葉に置き換えます。「母親が何をしたか」「なぜ旅ができたか」といった具合です。
英語のまま構える必要はありません。日本語で持っておくほうが、本文を読んでいる最中に思い出しやすくなります。
1問ずつ処理するのが原則
設問を全部読んでから本文に入る方法もありますが、おすすめしません。複数の探しものを同時に抱えると、どれも取りこぼします。
1問読む、該当する範囲を読む、答える。この単位で回すのが、いちばん取りこぼしが少ない形です。
設問文の主語を確認しておく
設問文を読むとき、意外に見落とされるのが主語です。誰について問われているのかを取り違えると、正しい段落を読んでも答えが合いません。
登場人物が複数いる長文では特に起こりやすくなります。設問文の中の人名や役割を指す語に、目印をつけておくだけで防げます。
一手間に見えますが、かかるのは1秒程度です。読み直しが1回減れば、それだけで元が取れます。
設問は、本文の段落と同じ順番に並んでいる
この手順が成立する根拠を示します。ここがこの記事の中心です。

実際の過去問で対応関係を確かめる
公開されている過去問で確認できます。2026年度第1回の2級で出題された伝記的な説明文を例にとります。
この長文には設問が5つ付いていました。1問目の答えは第1段落に、2問目は第2段落に、3問目は第3段落に、4問目は第4段落にありました。順番が入れ替わっている箇所はありません。
| 設問の位置 | 答えのある場所 | 読む範囲 |
|---|---|---|
| 1問目 | 第1段落 | 冒頭から |
| 2問目 | 第2段落 | 1問目の続きから |
| 3問目 | 第3段落 | 2問目の続きから |
| 4問目 | 第4段落 | 3問目の続きから |
同じ回のEメール形式でも同様だった
同じ回に出題されたEメール形式の長文でも、対応は崩れていませんでした。3つの設問が、それぞれ前半・中盤・後半の内容に対応していました。
つまりこれは、特定の1本だけの偶然ではありません。複数の形式で同じ並び方が観察されるということです。
公式のルールとして書かれているわけではない
ただし注意も必要です。英検協会がこの並び方を明文化しているわけではありません。
したがって「必ずそうなる」とは言えません。受験する級の過去問を2、3本ひらいて、自分で対応関係を確かめておくことをおすすめします。確認する作業自体が数分で終わります。
確認するときは、設問番号と対応する段落番号を余白に小さく書きます。2、3本で同じ並びが続くかを見ると、本番でも探す範囲を狭める判断材料になります。並びが違う回が見つかったら、その級では「必ず」と決めつけず、毎回設問文から確認してください。
最後の1問だけは、本文全体が対象になる
対応関係には、1つだけ例外があります。ここを見分けられるかどうかが手順の分かれ目です。
末尾に置かれる総合問題
先ほどの説明文では、5問目だけが段落に対応していませんでした。本文全体の記述と照らして正誤を判断する形の設問だったからです。
この形の設問は、どこか1つの段落を見ても答えが出ません。選択肢ごとに、本文の別々の場所を確認する必要があります。
だから最後に回す
処理の順序としては、この設問を最後に回すのが合理的です。理由は単純で、ほかの設問を解く過程で、本文をほとんど読み終えているからです。
順番どおりに進めていれば、5問目にたどり着いた時点で内容は頭に残っています。わざわざ読み直す必要がありません。
見分け方は設問文の形にある
この形の設問は、設問文を見れば分かります。特定の人物や出来事を指さず、本文の内容として正しいものを選ばせる形になっています。
逆に、人名や具体的な語が設問文に入っているなら、対応する段落があります。設問文に固有の手がかりがあるかどうか。これが判別の基準です。
総合問題は、選択肢を1つずつ切っていく
この形の設問では、正解を探すより誤りを消すほうが速く進みます。4つの選択肢を上から順に見て、本文の記述と食い違うものを外していきます。
食い違いは、細部に置かれていることが多くあります。出来事の前後関係が入れ替わっていたり、行った人物が別人になっていたりという形です。
内容としてはもっともらしく見えるため、本文と照らさずに判断すると外します。ここだけは確認の手間を惜しまないほうが得です。
探す範囲は、前の問で止まった場所の続きから
対応関係を手順に落とし込みます。ここが実際の動きになります。
本文の頭に戻らない
多くの人は、設問を読むたびに本文の冒頭へ戻ります。しかし設問が順に並んでいるなら、前の答えより前に戻る理由はありません。
指を置いておくだけで足ります。前の問の答えが見つかった場所に印を残し、次はそこから下だけを読む。これで読む量が段階的に減っていきます。
1本の長文を1回だけ通る
この方法を使うと、本文を上から下へ1回通るだけで全問を処理できます。
見つからないときは、どこまで進むか決めておく
探しているものがなかなか出てこないこともあります。このときは、次の段落の終わりまでを上限にします。
そこまで読んで見つからないなら、いったん飛ばして次の設問へ移ります。対応がずれている可能性があるので、探し続けるより先へ進むほうが速く片づきます。
飛ばした設問は、次の答えを見つけた後に戻る
飛ばした設問を放置すると、そのまま失点になります。戻るタイミングを決めておきます。
次の設問の答えが見つかった時点で、飛ばした設問へ一度だけ戻ります。そのときには、探すべき範囲が前後から挟み込まれて狭くなっています。
答えは、直前の答えと直後の答えのあいだにあるはずだからです。この挟み込みができるのも、設問が順に並んでいるからこそです。
段落の先頭を読むだけで、話の向きは決まる
読む量をさらに減らす方法があります。段落の構造を利用します。

先頭の一文が、その段落の役割を示す
英語の説明文では、段落の最初の文に主題が置かれることが多くあります。残りの文は、その主題を説明したり例を挙げたりする部分です。
つまり先頭の一文を読むだけで、その段落が何の話なのかは判定できます。探しているものと関係なければ、その段落は飛ばせます。
飛ばす判断を速くする
この判定に時間をかけないことが要点です。先頭の一文を読んで、関係なさそうなら次の段落へ移る。数秒の判断です。
判断を誤って飛ばしすぎても、大きな損はありません。設問が順に並んでいる以上、行き過ぎたら少し戻るだけで済みます。
物語文では通用しにくい
ただし、この方法が効きにくい種類の文章もあります。出来事が時間の順に並ぶ文章では、先頭の一文が主題になっていないことがあります。
その場合は、段落の先頭ではなく時を表す表現を目印にします。いつの話が始まったのかが分かれば、探す位置の見当がつきます。
段落の最後の一文も、役に立つことがある
先頭だけでは判断がつかない段落もあります。そのときは末尾を見ます。段落の最後の一文には、そこまでの内容をまとめた記述や、次の段落へつなぐ記述が置かれることがあります。
先頭と末尾の2文を読めば、その段落の輪郭はほぼつかめます。中間の数文は、具体例や補足であることが多いためです。
級が上がって段落が長くなるほど、この読み方の効きが大きくなります。
級によって、長文の構成そのものが違う
手順の適用範囲を確認します。級ごとに長文の作りが異なります。
公表されている構成の一覧
英検協会の試験内容ページには、大問ごとの形式と問題数が示されています。以下は2026年7月27日時点で公表されていた内容です。
| 級 | 長文の語句空所補充 | 長文の内容一致選択 |
|---|---|---|
| 3級 | なし | 10問 |
| 準2級 | 2問 | 7問 |
| 準2級プラス・2級 | 6問 | 8問 |
| 準1級・1級 | 6問 | 7問 |
3級は空所補充の長文がない
表を見ると、3級だけ長文の語句空所補充が設けられていません。3級の長文はすべて内容一致で、掲示や案内、Eメール、説明文が素材になります。
したがって3級では、この記事の手順がほぼすべての長文に使えます。扱う素材が短いぶん、対応関係も見つけやすくなります。
準2級から空所補充が加わる
準2級では2問、準2級プラス以上では6問の語句空所補充が加わります。ここは内容一致とは読み方が変わる部分です。
次の節でその違いを扱います。同じ「長文」という言葉でくくられていますが、必要な動きは別物です。
級が上がると、素材の性質も変わる
構成だけでなく、扱われる題材も変わります。公表されている問題文の種類を見ると、3級では掲示や案内、Eメールが中心で、2級以上では説明文が主役になります。
準1級・1級ではさらに評論文が加わります。意見と根拠が入り組む文章では、段落と設問の対応はあっても、答えの根拠が1文に収まらないことが増えます。
それでも探す範囲を絞る手順は同じです。読む量が増えるほど、絞ることの効果も大きくなります。
語句空所補充は、内容一致とは読み方を変える
長文の中でも、空所を埋める形式は別の手順で処理します。
探すのではなく、つなぐ
内容一致では、答えのある場所を探しました。空所補充では、探す場所が最初から示されています。
やることは、空所の前後がどうつながるかを見ることです。前の文と後ろの文の関係が分かれば、入る内容の方向が決まります。
前後の関係は3つに絞れる
つながり方は、それほど多くありません。
| 関係 | 入る内容の向き | 手がかり |
|---|---|---|
| 同じ方向に続く | 前の内容を補強する | 付け加えを示す表現 |
| 逆の方向へ向かう | 前の内容と対立する | 逆接を示す表現 |
| 原因と結果 | 前を受けて結論を出す | 結果を示す表現 |
空所の直後に置かれた表現が、最も強い手がかりになります。
読む範囲は空所の前後2文まで
空所補充では、本文全体を読む必要がありません。空所を含む文と、その前後の1文ずつ。ここまでで判断できることが大半です。
範囲を広げるほど時間を使いますが、精度はあまり上がりません。それでも決まらないときは、段落の先頭に戻って話の向きを確かめます。
入れてみて読み直すのは最後にする
選択肢を空所に入れて読み返す方法があります。確実ではありますが、4つ全部でこれをやると、単純に4回読むことになります。
まず前後の関係から2つに絞り、残った2つだけで入れ替えて確かめる。読み直す回数を半分にできれば、それだけで長文1本ぶんの時間が変わります。
絞る作業を飛ばして総当たりに入るのが、この形式でいちばん時間を失う進め方です。
正解の選択肢は、本文を言い換えている
選び方の話に進みます。ここは級が上がるほど効いてきます。

本文と同じ語は使われない
正解の選択肢が、本文の表現をそのまま使っていることはほとんどありません。同じ内容を、別の語や別の構文で言い直しています。
先ほどの説明文でも、本文が「母親が家庭教師を雇った」と述べている箇所に対し、正解の選択肢は「専門家による個別の授業を用意した」という形になっていました。
同じ語が並んでいる選択肢は疑う
裏返すと、判断の材料が1つ得られます。本文と同じ語がそのまま並んでいる選択肢は、正解ではない可能性が高くなります。
作問の側から見れば当然です。見つけやすい語を並べておけば、確認せずに選ぶ受験者を引っかけられます。
知っている話題ほど、本文に戻る回数を増やす
背景を知っている題材が出ると、読む速度は上がります。しかし同時に、本文に書かれていないことまで補って読む危険も上がります。
自分の知識と一致する選択肢は、正しく見えます。それが本文に書かれているかどうかは、別の問題です。
基準は1つで足ります。本文のどこに書いてあるかを指させないなら選ばない。詳しい話題のときほど、この確認を意識的に増やしてください。
言い換えに気づくための練習
この力は、演習の振り返りで鍛えられます。解いた後に1つ作業を足すだけです。
この作業は1問につき数十秒です。それでも、次に同じ手口を見たときの反応が変わります。
印をつけると、確認のために戻る回数が減る
読みながら残す目印について扱います。書く量は最小限にします。

後で必要になるものだけを目立たせる
読んでいる最中に印をつける対象は、限られています。あとから位置を探すことになりやすいものだけです。
- 固有名詞:人名や地名は、設問で指定されることが多い
- 数字と年号:複数出ると、どれがどれか分からなくなる
- 逆接を示す表現:その直後に筆者の主張が来やすい
逆接の直後は特に重要になる
3つのうち、見返す価値が最も高いのが逆接です。それまでの内容を否定して、本当に言いたいことを述べる合図だからです。
説明文では、一般に言われていることを紹介してから、それを覆す形がよく使われます。前半だけを読んで答えると、逆の内容を選ぶことになります。
印は線ではなく囲みにする
細かい話ですが、印の付け方にも差が出ます。下線を引くと、どこが重要だったのか後から分かりにくくなります。
対象を丸で囲むか、余白に短い記号を置くほうが、視線で見つけやすくなります。探す作業を速くするための印なので、目立つ形にしておく意味があります。
印をつけすぎると、印の意味がなくなる
気をつけたいのは、つける量です。重要そうな箇所を次々に囲んでいくと、ページ全体が印だらけになります。
そうなると、どこを見ればいいのか分からなくなります。印は「少ないからこそ目立つ」という前提で機能しています。
目安としては、1段落あたり多くても2つまでです。それ以上つけたくなったら、対象を3種類に絞り直してください。
時間が足りないときは、長文ではなく設問を捨てる
崩れたときの判断を決めておきます。長文1本の中での話です。

1本まるごと捨てるのは損が大きい
時間が足りなくなると、長文を1本まるごと飛ばしたくなります。しかしこれは、取れるはずの設問まで一緒に捨てる選択です。
設問が段落の順に並んでいるなら、前半の設問は、本文の前半だけ読めば答えられます。最後まで読む時間がなくても、途中までは取れます。
捨てる順序は後ろから
したがって、捨てるなら後ろの設問からになります。
| 優先度 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 必ず取る | 各長文の最初の設問 | 読む範囲が最も短い |
| 次に取る | 中盤の設問 | 前の設問の続きで届く |
| 捨てる候補 | 末尾の総合問題 | 本文全体が必要になる |
末尾の総合問題は、本文を最後まで読まないと答えられません。時間が足りない状況で最も割に合わない設問です。
捨てると決めても、マークはする
選択式である以上、空欄で出す理由はありません。捨てると決めた設問にも、どれか1つを塗ってから次へ進みます。
これは数秒の作業です。「時間が来たら塗る」と決めておくと、終了間際に慌てずに済みます。
捨てる判断は、本番より演習で決めておく
本番で捨てる判断を初めて下すと、そこで時間を使います。迷っている時間そのものが、また時間を奪う構造になっています。
だから演習の段階で、順序を先に決めておきます。どの長文のどの位置から捨てるかを、紙に書き出しておくくらいで十分です。
決めてあれば、本番では実行するだけになります。判断が要らない状態にしておくことが、いちばん確実な時間の節約です。
Eメール形式の長文は、探す場所があらかじめ決まっている
素材によっては、手順をさらに単純にできます。
差出人と用件が冒頭に置かれる
Eメールを素材にする長文では、誰が誰に何の用件で書いたのかが、冒頭に置かれます。
したがって最初の設問は、多くの場合ここで答えられます。本文に入る前に、差出人と件名の欄を見ておくだけで方向が定まります。
依頼や質問は後ろに来る
本文の後半では、相手に何かを頼んだり尋ねたりする内容が置かれます。「なぜこの情報を伝えたのか」を問う設問は、この部分に対応します。
先ほどの2級の例でも、3問目は本文の最後の段落に対応していました。用件を述べる順番が決まっているぶん、探す場所も安定します。
掲示や案内はさらに単純
3級では、掲示や案内を素材にする長文も出ます。この形式では、日時・場所・費用・条件が箇条書きに近い形で並びます。
設問はそのどれかを問うことが多く、該当する項目を見つければ即座に答えられます。全文を読む必要はありません。
条件や例外を書いた一文に注意する
ただし掲示や案内には、落とし穴が仕込まれることがあります。本文の最後に、条件や例外を述べた一文が付いている形です。
「ただし雨天の場合は」「会員以外は」といった内容が、そこで初めて示されます。箇条書きの部分だけを見て答えると、この一文を見落とします。
短い素材ほど、末尾まで目を通す価値があります。読む量が少ないので、確認のコストもわずかです。
長文は、短いものから先に手をつける
処理の順番をもう一段上のレベルで考えます。1本の中ではなく、複数の長文をどう並べるかという話です。
長文どうしにも長さの差がある
同じ大問の中でも、素材の長さは同じではありません。Eメールや掲示を扱う長文は短く、説明文や評論文を扱う長文は長くなります。
問題冊子の並びは、必ずしも短い順ではありません。開いた順に解くと、いきなり最も長い素材から始めることになる場合があります。
短いものを先に処理すると、残り時間が読める
先に短い長文を片づけると、いくつかの利点が生まれます。
- かかる時間の見当がつけやすい:計画が崩れにくくなります
- 終えた時点で残り時間が見える:長い長文への配分を決められます
- 取りやすい設問を先に確保できる:時間切れの影響を受けません
最も長い素材から始めると、そこで時間を使い切った場合に、短くて取りやすい設問まで失います。
順番を変えるときは、解答欄に注意する
ただし1つ注意があります。解く順番を変えると、解答欄の番号がずれる危険が生まれます。
対策は簡単で、大問ごとに区切って塗ることです。1つの長文を解き終えるたびに、その範囲だけをまとめて塗る。これで番号のずれはほぼ防げます。
順番を変えるかどうかは、演習で決める
とはいえ、順番を変えること自体が負担になる人もいます。冊子どおりに進めるほうが落ち着くなら、無理に変える必要はありません。
判断材料は演習で取れます。冊子どおりに解いた回と、短いものから解いた回で、最後まで到達できたかどうかを比べる。2回ずつ試せば傾向は見えます。
本番で初めて順番を変えるのは避けてください。慣れていない動きは、それだけで時間を使います。
時間を計らない演習では、この手順は身につかない
練習の条件について整理します。ここが最も抜けやすい部分です。
時間の制約がないと、古い癖に戻る
手順を知っていても、時間を計らずに解くと元の読み方に戻ります。急いでいないときは、本文を全部読んでしまうほうが楽だからです。
制約があってはじめて、順番を変える意味が体感できます。計らない演習では、手順を試したことにならないと考えてください。
大問ごとに時間を区切る
計り方にもこつがあります。試験全体で計るのではなく、長文1本ごとに計ります。
1本にどれだけかかったかが分かれば、どこで遅れたかが特定できます。全体の時間だけを見ていると、原因が長文にあるのかどうかも分かりません。
超過しても、そこで止めない
計った結果、目安を超えることはよくあります。そのとき解き直すのではなく、超えた事実だけを記録して先へ進みます。
止めて解き直すと、本番と条件が変わってしまいます。超過したまま最後まで通したときに、どこまで届くのかを知ることに意味があります。
記録は1本につき1行で足ります。「3B・7分・設問3つ」と書いておけば、次回との比較ができます。
目安の時間は級と設問数から出す
配分の目安は、自分で計算して決めます。分数を暗記しても級が変われば使えません。
- 作文に使う時間を先に取り分ける:2題ぶんを確保します
- 残りを大問の数で割る:まず均等に置きます
- 長文に多め、短い設問に少なめへ寄せる:本文の量に応じて調整します
これはあくまで目安であり、級や回によって適切な配分は変わります。演習で計った実測値をもとに、自分の数字へ置き換えてください。
演習の素材を探す時間も、実は消えている
見落とされがちなのが、演習を始めるまでの手間です。どの教材のどこを解くかを毎回決めていると、それ自体が時間を使います。
2週間で手順を体に入れる進め方
ここまでの内容を実行できる形にします。期間は2週間を想定します。

第1週:時間を計らず、順番だけをなぞる
最初の週は速さを求めません。設問を1つ読んでから本文に入るという順番を、意識的に守る週です。
この週に見る指標は「本文の冒頭に戻った回数」です。正答率はまだ見ません。
第2週:時間を計って通しで解く
2週目で条件を本番に寄せます。長文1本ごとに時間を計り、超えたらその時点で次へ進みます。
この週に見る指標は「時間内に最後の長文まで到達したか」です。
長文の処理でやりがちな失敗が4つある
最後に、手順が崩れる典型的なパターンを挙げます。
1設問を全部読んでから本文に入る
複数の探しものを同時に抱えると、どれも取りこぼします。1問ずつ処理するほうが、結果として速く終わります。
2設問ごとに本文の冒頭へ戻る
設問が順に並んでいる以上、前に戻る理由はありません。前の答えがあった場所に印を残しておけば、戻る動作自体が消えます。
3知らない語で立ち止まる
1語の意味が取れなくても、段落の役割は判定できます。止まった時間のぶんだけ、後ろの設問に使える時間が減ります。
4時間を計らずに演習する
制約がないと、古い読み方に戻ります。手順を試したかどうかは、時間を計ってはじめて確かめられます。
- 設問をまとめて読んでから本文に入る
- 設問ごとに冒頭へ戻る
- 知らない語で立ち止まる
- 時間を計らずに演習する
英検の長文に関するよくある質問
読者から寄せられることの多い疑問に答えます。
設問は本当に本文の順に並んでいますか?
公開されている過去問を確認する限り、内容一致の設問は本文の登場順に対応していることがほとんどです。ただし公式に明記された規則ではないため、受験する級の過去問で確かめてください。
選択肢は先に読んだほうがいいですか?
読まないほうが軽く進みます。誤りの選択肢が3つ含まれているため、先に読むと不要な情報を抱えることになります。読むのは設問文だけにして、選択肢は該当箇所を見つけたあとに開いてください。
本文に知らない単語が多い場合はどうしますか?
手順ではなく語彙で止まっています。その状態で解き順を変えても、止まる場所は変わりません。時間をかけて読み返して意味が取れるかどうかを確かめ、取れないなら語彙の到達ラインを先に埋めてください。
段落の先頭だけ読む方法はいつでも使えますか?
説明文では有効ですが、出来事が時間順に並ぶ文章では効きにくくなります。その場合は時を表す表現を目印にします。
末尾の設問はどう見分けますか?
設問文に固有名詞などの手がかりがなく、本文の内容として正しいものを選ぶ形になっていれば、本文全体が対象です。この形の設問は最後に回します。
語句空所補充も同じ手順で解けますか?
別の手順になります。空所の前後2文の関係を見るのが基本で、本文全体を読む必要はありません。選択肢を入れて読み返す作業は、2つに絞ってから行ってください。
画面で受験する場合も同じ手順が使えますか?
探す対象を先に決めるという考え方は共通します。ただし問題冊子への印をつける方法は使えません。その場合は、段落の先頭と末尾を意識的に読むことで代替します。
時間内に終わらないときは何を捨てますか?
長文を1本まるごと飛ばすのではなく、各長文の末尾の設問から捨てます。前半の設問は読む範囲が短く、取れる確率が高いためです。捨てると決めた設問にも、どれか1つは塗ってから次へ進んでください。
要約問題にもこの手順は使えますか?
探す対象を決めてから読むという考え方は共通します。ただし要約は書く課題なので、必要な作業が加わります。詳しくは英検の要約問題を扱った記事で整理しています。
まとめ:読み始める前に、探すものを決めておく
最後に、演習で思い出せるように順序だけまとめます。
- 本文から読まない:設問文を1つ読んでから本文に入ります
- 設問は段落の順に並んでいる:探す範囲は前の続きからです
- 末尾の設問だけ性質が違う:本文全体が対象なので最後に回します
- 捨てるなら後ろから:長文を1本まるごと飛ばさないでください
英検の長文で時間が足りないとき、真っ先に疑われるのは読む速さです。しかし速さを変えなくても、読む量は減らせます。
減らす方法が、順番の入れ替えです。探すものを決めてから読めば、必要な範囲だけを読んで先へ進めます。
そしてこの変更に、準備は要りません。次の演習で、設問文を1つ読んでから本文を開く。それだけで試せます。
続けて読む記事は、詰まっている場所に合わせて選んでください。
- そもそも間に合わない原因が分からない → 英検リーディングで間に合わない原因
- 知らない語で止まっている → 英検の単語はどこまで覚えるか
- 要約問題にも不安がある → 英検の要約問題の書き方
- 全体の設計を確認したい → 英検とは?改定で変わった点


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