- 英検の長文が、時間内に終わらない
- 2024年の改定でリーディングは易しくなったと聞いたのに、実感がない
- 速読の練習をしているのに、間に合うようにならない
- 大問ごとに何分かければいいのか分からない
英検のリーディングで「間に合わない」と感じている人の多くは、読む速度が足りないせいだと考えています。そして速読のトレーニングを探します。
しかし、原因が速度でないなら、速度の練習をしても解決しません。手をつける場所が違うからです。
先に結論を言います。2024年度の改定では、1級・準1級・2級・準2級のリーディング設問数が減りました。ただし、同時にライティングが1題増えています。設問数だけを見て「リーディングに使える時間が増えた」とは判断できません。それでも間に合わないなら、読む速さだけでなく、語彙・設問の見分け方・読み直し方を切り分ける必要があります。
筆者は英検1級を保持し、日本最大級の英語サービスの運営に携わってきました。この記事では、英検協会が公表している改定内容をもとに、間に合わない原因を切り分ける方法を整理します。

問題数が減ったって聞いたんですけど、全然ラクになった気がしないんです…

そう感じる人は多いよ。設問数だけでなく、同じ時間内に書くライティングが増えたことまで含めて考える必要があるんだ。

じゃあ結局、何をすればいいんですか?

まず原因を切り分けるところから。速度の問題じゃない人が、速度の練習をして時間を溶かしているケースがすごく多いんだ。
- 2024年の改定で、リーディングの何が減り、時間がどこへ行ったのか
- 間に合わない原因を、語彙・設問タイプ・往復回数の3つに切り分ける方法
- 設問タイプごとに「本文のどこへ戻るか」が変わるという判断軸
- 時間配分が崩れたときに、損失を広げない立て直し方
結論:設問数が減っても、リーディングの余裕が増えるとは限らない
最初に全体像を示します。この記事の主張は次の3つです。
- 設問数が減った級がある:1級・準1級・2級・準2級で削減されました
- 同時にライティングが1題増えた:筆記時間全体の配分を組み直す必要があります
- 「間に合わない」を3つに分ける:語彙・設問タイプ・読み直しのどこで時間を使っているかを確認します
「改定で問題数が減った」という説明だけでは、受験者の時間配分までは分かりません。速読を始める前に、どこで時間を失っているかを確認するほうが、対策を選びやすくなります。
対策の手法から入らず、まず事実の確認と原因の切り分けを行います。最後まで読むと、自分がどこで詰まっているかが言葉にできる状態になります。
- 改定で実際に何が変わったのか(前提をそろえる)
- 間に合わない原因はどれか(3つに切り分ける)
- 原因ごとに何を練習するか(打ち手を決める)
まず事実を確認します。ここを曖昧にしたまま対策の話をすると、前提がずれたまま進んでしまいます。
級ごとの設問数の変化
英検協会の2024年度問題形式リニューアルの公式資料によると、2024年度第1回検定からリーディングの設問数が次のように変わりました。以下は2026年7月28日時点で公表されている内容にもとづいています。
| 級 | リーディング設問数 | 削減された箇所 |
|---|---|---|
| 1級 | 41問 → 35問 | 大問1で3問(単語問題)、大問3で3問 |
| 準1級 | 41問 → 31問 | 大問1で7問(単語問題)、大問3で3問 |
| 2級 | 38問 → 31問 | 大問1で3問(文法問題など)、大問3Bで4問 |
| 準2級 | 37問 → 29問 | 大問1で5問(熟語・文法問題など)、大問3Bで3問 |
| 3級 | 変更なし | — |
減り幅は小さくありません。準1級は41問から31問へ、10問も減っています。3級だけは設問数の変更がありません。
削減された箇所は、大問1の短文語句空所補充に加え、1級・準1級・2級では長文の内容一致選択、準2級では長文の語句空所補充です。「長文から同じ種類の設問が一律に減った」わけではありません。
試験時間はどう変わったか
一方、筆記試験の時間は次のとおりです。こちらは変更された級が限られます。
| 級 | 筆記試験の時間 |
|---|---|
| 1級 | 100分(変更なし) |
| 準1級 | 90分(変更なし) |
| 2級 | 85分(変更なし) |
| 準2級 | 75分 → 80分 |
| 3級 | 50分 → 65分 |
ここで気づいてほしいことがあります。1級・準1級・2級は、設問が減ったのに試験時間が変わっていません。
時間延長とライティング追加をセットで見る
準2級と3級では、ライティング1題の追加と同時に筆記時間が延長されました。
2024年の改定では、3級以上の級で英作文が1題から2題に増えました。準2級と3級ではEメール問題が、2級以上では要約問題が追加されています。
したがって、延びた5分や15分をそのままリーディングの余裕として計算するのは安全ではありません。追加されたライティングを含めて、筆記全体の配分を作り直す必要があります。

設問数だけでは、リーディングに使える時間を計算できない
1級・準1級・2級では、リーディング設問数が減る一方、リーディングとライティングを合わせた時間は変わっていません。ここで「設問数が減った分だけ、1問に長く使える」と計算すると、追加された要約問題の時間が抜け落ちます。
理由は、リーディングとライティングが同じ時間枠に入っているからです。公式資料が示しているのは設問数と形式の変更であり、受験者ごとの「1問あたりの持ち時間」ではありません。
また、削減されたのは大問1だけではありません。長文側の設問も減っているため、「本文量は完全に同じ」とも言い切れません。比較すべきなのは、古い教材の総問題数ではなく、現在の公式問題を解いたときに各パートへ実際に何分かかったかです。
- 公式に確認できる:級ごとの設問数、削減された形式、筆記時間
- 一律には決められない:リーディングとライティングへ割く時間
- 演習で測る:語句問題、長文、ライティングに実際に使った時間
設問数の減少は負担軽減の材料ですが、追加されたライティングも同じ時間枠にあります。現在の形式を1回通して解き、技能別ではなくパート別に所要時間を記録するところから始めてください。
語句問題で時間を使っていた人は設問削減の恩恵を感じやすく、要約に時間がかかる人は余裕を感じにくいでしょう。改定の影響は、どのパートで時間を使う人かによって変わります。
「前より楽になったはずなのに」と考えるより、自分の答案で時間の内訳を測るほうが原因に近づけます。この構造を理解しておくと、対策の焦点がずれにくくなります。
「問題数が減った」という事実だけでは、受験者の負担がどう変わったかまでは分かりません。
この情報を「易しくなった」と受け取ると、準備量を減らす判断につながりかねません。減ったのは処理する設問の数であって、身につけるべき力ではありません。
間に合わない原因は、まず3つに分けて確認する
前提が整ったので、原因の切り分けに入ります。「間に合わない」は症状であって、原因ではありません。

1知らない語で止まっている
最初に確認したい原因です。1つの段落に知らない語が重なると、意味を推測する処理が挟まって読みが止まりやすくなります。
見分け方の1つは、試験後に本文を辞書なし・時間制限なしで読み返すことです。時間を外しても意味が取れない文が多いなら、語彙や構文の理解を優先して確認します。時間を外せば読めるなら、別の原因も疑えます。
厄介なのは、この状態が自覚しにくいことです。「なんとなく意味は分かった」という感覚が残るため、語彙が原因だと気づかないまま演習を重ねてしまいます。
2設問タイプを見分けていない
2つ目は、設問を読んでも「どこを見ればいいか」が決まらない状態です。
すべての設問を同じ読み方で処理しようとすると、本文全体を毎回見直すことになります。設問タイプごとに戻る場所は違います。ここを分けていないと、1問ごとに全体を探すことになります。
3読み直しの往復が多い
3つ目は、上の2つの結果として起こります。本文と設問のあいだを何度も往復している状態です。
見分け方は、解いている最中の自分の動きを記録することです。同じ段落へ理由なく何度も戻っているなら、往復が時間を使っている可能性があります。回数だけでなく、「何を確かめるために戻ったか」も残します。
- 知らない語で止まる → 長文の本数ではなく、語彙の到達ラインを埋める
- 設問タイプを見分けていない → 解く前に設問を分類する練習をする
- 往復が多い → 戻る範囲を先に決めてから本文へ戻る
語彙が原因だった場合の進め方は、英検の単語はどこまで覚えるかで級ごとの到達ラインから整理しています。
設問タイプを見分けると、戻る場所が決まる
原因の2つ目について、診断の軸を見ていきます。具体的な解き順は別記事へ分け、ここでは戻る範囲を判断できる状態を目指します。
設問は4つのタイプに分かれる
英検の読解設問は、学習用におおまかに次の4タイプへ整理できます。これは英検協会の公式分類ではなく、最初に確認する範囲を考えるための作業上の分類です。

| 設問タイプ | まず見る場所 | 確認する範囲の目安 |
|---|---|---|
| 語彙・語句を問う | 空所や下線の前後 | 前後のつながりが取れる範囲 |
| 指示語の内容を問う | その語の直前 | 指す対象が現れた文まで |
| 言い換えを問う | 選択肢のキーワードが出る段落 | 該当段落を中心に前後も確認 |
| 全体の主旨を問う | 各段落の先頭文 | 導入・展開・結論の関係 |
この表の要点は、設問を読んだ直後に「何を確かめるために、どこから見るか」を言葉にすることです。最初の範囲で根拠が見つからなければ、前後へ広げます。
有効な練習法があります。正解を出さずに、設問がどのタイプかだけを判定していくやり方です。
過去問の設問を上から順に見て、「これは指示語」「これは全体主旨」と分類していくだけ。1つの長文で数分しかかかりません。この判別が速くなると、戻る範囲の決定も速くなります。
全文を解き直すより短く取り組めるため、復習へ入れやすい方法です。分類後は必ず正答と根拠箇所まで確認し、分類が合っていたかを直します。
「設問を先に読むべきか」という論点があります。設問文だけ先に読む方法、選択肢まで読む方法、本文から読む方法を別の公式問題で試し、所要時間と正答率を比べます。
選択肢まで読むと探す情報を絞りやすい人もいれば、覚える量が増えて本文へ集中しにくい人もいます。一般論ではなく、自分の記録で決めます。
読み直しの往復が時間を使っていないか
原因の3つ目です。ここでは、戻った回数だけでなく、戻った範囲と目的を確認します。

具体的に考えてみます。1つの長文に設問が5問あるとします。
- 往復が多い解き方:設問ごとに本文の頭から探す → 5問で5往復+通読1回
- 往復が少ない解き方:通読1回で段落の内容を把握 → 設問ごとに該当段落だけ戻る
読む速度が同じでも、確認する範囲が狭まれば読み直す量は減ります。速さだけでなく、探す範囲も練習前後で比べます。
往復を減らす具体策として、通読時に各段落の横に3〜5字のメモを残す方法があります。
「原因」「反論」「データ」「筆者の主張」といった程度で十分です。設問を読んだとき、戻る段落を絞る目印になります。
このメモが効くのは、英検の長文が段落ごとに役割を持って並んでいるからです。導入で話題を出し、途中で反対意見や具体例を挟み、最後に筆者の立場を示す。この流れは級が上がるほどはっきりします。
「メモを書く時間がもったいない」と感じる場合は、メモあり・なしを別の過去問で試してください。所要時間が短くなり、正答率も保てる場合だけ採用します。
もう1つの往復発生源が、保留した設問です。飛ばす場合は、設問番号の横に「第2段落の根拠確認」のように戻る理由を残します。戻ったときに本文全体から探し直さないためです。
その場で決めるには、1問に使う上限と、本文の根拠箇所を確認する基準が要ります。上限を超えたら印を付け、残りへ進みます。
選択肢で迷う時間も記録する
往復を減らすもう1つの方法が、選択肢の切り方を型として持っておくことです。迷う時間そのものが往復を生みます。
誤答した選択肢は、本文とどこがずれていたかを確認します。次の3方向で整理すると、復習の焦点を決めやすくなります。
| 誤りの型 | 特徴 | 気づく手がかり |
|---|---|---|
| 言い過ぎ | 本文より強く断定している | always、never、all などの語 |
| 本文にない | もっともらしいが本文に記述がない | 常識的に正しそうに見える |
| ずらし | 本文の内容だが、設問が聞いていることと違う | 別の段落の話になっている |
3つのうち、最初に確認したいのが言い過ぎです。本文が「多くの場合」と書いているのに、選択肢が「常に」となっていれば誤りと判断できます。
強い断定語があっても、それだけで誤りとは決められません。本文の限定表現と範囲が一致するかを確認します。
2つ目の型が厄介なのは、読み手の常識と一致してしまうためです。内容として正しいので、つい選んでしまいます。
対処では、本文のどこが根拠になるかを確認します。常識的に正しくても、設問への答えとは限りません。
背景知識のある話題では、書かれていないことまで補って読んでいないかを確認します。戻る回数を増やすのではなく、根拠に必要な範囲だけ見ます。
3つ目の型は、本文には確かに書いてある内容です。ただし設問が聞いているのは別のことです。
迷ったときは選択肢を見比べるのをやめて、設問文へ戻ります。選択肢どうしを比べていると、設問の要求を忘れます。比べる相手は、他の選択肢ではなく設問文です。
時間配分が崩れたら、固定の「捨て順」ではなく上限時間で立て直す
配分の話に進みます。ただし分数の暗記は目的ではありません。級ごとの試験時間と自分の得意形式を前提に、どこで次へ進むかを決めます。
時間配分は「割合」で持つ
級によって試験時間も設問数も違うため、分数を丸暗記しても応用が利きません。割合で持っておくほうが実用的です。
- ライティング2題の上限時間を先に決める
- 残りをリーディングの大問数で割る
- 過去問の実測から、パートごとの上限時間を置く
改定でライティングが2題になった以上、リーディングだけに時間を使い切らない設計が必要です。先に書くか後に書くかにかかわらず、ライティング用の時間を残します。
作文を先に書くという選択肢
時間配分をより確実にする方法として、作文から書き始めるやり方があります。順番に解く必要はありません。
ライティングを白紙で出せば、その課題で採点される機会を失います。少なくとも2題とも解答を残せる時間を確保するという考え方です。
ただし、作文に集中しすぎてリーディングが崩れては本末転倒です。作文に使う時間の上限を先に決めておくことが前提になります。
崩れたときの立て直し方
本番では計画どおりに進まないことがあります。そのときに「どの大問を捨てるか」を全員共通で固定するのは危険です。得意・不得意と残り時間で、回収しやすい得点が変わるためです。

| 確認する順序 | やること | 判断の基準 |
|---|---|---|
| 1 | ライティング2題の残り時間を確保する | どちらも白紙にしない |
| 2 | 自分の上限内で解ける未回答を先に拾う | 自分の得意形式を優先する |
| 3 | 時間上限を超えた1問はいったん離れる | 長文全体ではなく、詰まった1問単位で判断する |
固定するのは「捨てる大問」ではなく、「1問で使う上限」と「ライティングへ移る時刻」です。得意分野をまとめて捨てる事故を避けながら、最後まで到達しやすくなります。
CSEは技能別に同じ満点、合否は一次・二次ごとの総合点
英検の合否はCSEスコアで判定され、公式説明では各技能にスコアが均等に配分されると案内されています。一次試験はリーディング・リスニング・ライティングの合計で判定されるため、1技能だけでなく全体のバランスが必要です。
さらに一次試験と二次試験は、それぞれ独立して基準を超える必要があります。一次で大きく上回っても、二次の不足を埋め合わせることはできません。
公式説明では、同じ技能内ならどの問題に正解してもスコアへの影響は同じ一方、正答数からCSEスコアを自分で算出することはできないとされています。「この1問は何点」と決め打ちせず、未回答を減らしつつ3技能の合計を整えるのが安全です。全体の設計は英検とは何かを整理した記事で扱っています。
語彙で止まるなら、長文の本数だけを増やさない
原因の1つ目に戻ります。ここは対策の順序を間違えやすい部分です。時間を外しても意味が取れないのかを確認してから、演習と語彙復習の比率を決めます。
読めない原因が語彙なら、本数より復習を厚くする
長文が読めないとき、多くの人は長文の演習量を増やします。しかし読めない原因が語彙にあるなら、新しい長文を増やすだけでは同じ種類の語で止まりやすくなります。
演習で出会った語を復習すれば語彙学習にもなります。大切なのは、解きっぱなしで本数だけを数えないことです。
切り分けの手順
判定は簡単にできます。次の手順で確認してください。

この判定を飛ばして演習量だけを増やすと、原因に合わない練習を続けることがあります。
語彙と読解は順番がある
語彙は読解の土台です。ただし、文の構造や段落のつながりを追う練習も必要なので、語彙だけを終えてから読解を始めるという直列の関係ではありません。
もちろん完璧に語彙を仕上げてから読解に入る必要はありません。級の到達ラインに届いているかどうかだけ、先に確認すれば十分です。
現実には、語彙と読解を完全に切り分けられないことも多いはずです。試験日が近ければなおさらです。
その場合は比率で調整します。切り分けの判定で語彙が原因だと出たなら、学習時間の配分を語彙側へ寄せる。読める状態なら読解側へ寄せる。
やめる・始めるの二択ではなく、どちらに時間を厚く置くかの問題として扱うと、判断が現実的になります。
級が上がると、読む対象そのものが変わる
もう1つ、級を上げるときに知っておきたい変化があります。語の難しさだけでなく、題材と文章展開の複雑さも段階的に変わるためです。
身近な話題から抽象的な論説へ
級が上がると、単に語が難しくなるだけではありません。扱われる題材の性質が変わります。
| 級 | 読む対象の傾向 | 必要になる力 |
|---|---|---|
| 3級・準2級 | 身近なこと、日常生活の話題 | 概要と必要な情報を捉える |
| 準2級プラス | 身近な社会的な話題 | 概要・要点・詳細を捉える |
| 2級 | 社会性のある内容 | 文章の展開を把握する |
| 準1級・1級 | 社会性の高い分野、専門的な話題 | 複雑な展開や推論を追う |
これは英検公式の各級の目安を、読解対策の観点から短く整理したものです。実際の題材は級をまたいで重なるため、境界が完全に分かれるわけではありません。級が上がるほど、必要な情報を拾うだけでなく、文章の展開や主張と根拠の関係を追う比重が高まると捉えてください。

「拾う」と「たどる」の違い
3級や準2級では、身近な話題の文章から概要や必要な情報を捉える課題が中心です。設問と本文の対応箇所を探す練習が役立ちます。
2級以上では、社会的な話題や複雑な文章の展開を追う力が段階的に求められます。選択肢が本文を言い換えることもあるため、同じ語だけを探すのではなく、段落の要点と関係をたどる読み方も必要になります。
この切り替えが必要になったかどうかは、演習中の感覚で分かります。
- 語は分かるのに、設問の答えが本文で見つからない
- 選択肢の語が本文にひとつも出てこない
- 段落ごとの内容は分かるが、全体の主張が言えない
これらが出てきたら、語彙だけでなく読み方も確認します。未知語の数と、段落の要点を言えるかの両方を見て判断してください。
このため、教材選びの基準は「有名かどうか」ではなく「今の級の題材に合っているか」になります。
1つ上の級を先取りすること自体が悪いわけではありません。ただし、現在の級で時間切れが続くなら、まず同じ級の公式問題で原因を記録し、形式に慣れるほうが優先です。
もう1つ確認したいのが、改定後の形式に対応しているかです。設問数が変わっているため、古い教材では時間感覚がずれます。演習で計った時間が本番と合わなくなります。
CSEスコアは、設問数だけで配点を逆算しない
設問数が減ると「1問の配点が何点になったのか」が気になります。しかし、英検CSEスコアは単純な素点換算ではありません。
正答数からCSEスコアは計算できない
英検公式は、技能ごとにスコアを均等に配分し、同じ技能内ではどの問題に正解してもスコアへの影響は同じと説明しています。一方で、スコアは各回の答案を採点した後、統計的手法を用いて算出されます。
そのため、「31問中1問だから何点」と受験前に換算することはできません。改定前後の1問の価値を単純比較することも避けたほうが安全です。
大問1の語句空所補充は、長文より短い時間で判断しやすい形式です。ただし、短いから必ず先、長文だから必ず後という決まりはありません。
優先したいのは、自分が短時間で正答しやすい形式を把握し、未回答を減らすことです。過去問の記録から順序を決めます。
解く順序は、公式問題を2通り試して決める
大問1から始める方法と、長文から始める方法を、別の公式問題で試してください。比較するのは正答率だけではありません。
- 各パートの所要時間:上限を超えた場所を見つける
- 未回答の数:最後まで到達できたかを見る
- 正答率:急いだことで精度が落ちていないかを見る
結果が安定した順序を本番用に採用します。全員に共通する正解順ではなく、自分の記録から再現できる順序を選ぶのが基本です。
改定後も、語彙は読解の前提として確認する
改定の内容をもう一段掘ると、対策の方向性が見えてきます。
公表資料では、削減された設問の性質が明記されています。1級・準1級では「単語問題」、2級では「文法問題など」、準2級では「熟語・文法問題など」です。
大問1では、独立した知識を直接問う設問の一部が削減されました。一方、長文側では、1級・準1級・2級の内容一致選択、準2級の語句空所補充も削減されています。
ここを誤読しないことが重要です。単語問題が減っても、長文の意味を取るために語彙が必要な点は残ります。
語彙は大問1で問われるだけでなく、長文の意味を取る前提でもあります。削減された設問数だけを見て、語彙学習を外す理由にはなりません。
もう1つ見落とされがちな接続があります。準2級プラスと2級以上の要約問題は、与えられた英文を読んで要点をまとめる形式です。
これは実質的に読解の課題でもあります。読解が弱いと、作文の新しい1題でも同じ弱点が出ます。詳しくは英検ライティングの対策記事で扱います。
S-CBTでは、書き込みができないぶん読み方を変える
受験方式によって読解の条件が変わる部分があります。問題形式が同じでも、紙面ではなく画面で読むため、戻る場所の残し方を置き換える必要があります。
問題形式は共通、読む環境は別
英検公式のS-CBT試験内容では、従来型と問題形式・難易度・級認定などが同じと案内されています。S-CBTも2024年5月実施分から改定後の形式になっています。
ただし、S-CBTのリーディングは画面上で読みます。問題冊子に線を引いたり、段落の横にメモを書いたりすることはできません。
段落メモが使えない場合の代替
前述の段落メモは、紙の受験を前提にした手法です。S-CBTでは別の方法が必要になります。
- 手元のメモ用紙に段落番号と役割だけ書く:公式FAQで案内されている会場配布の用紙を使う
- 段落の先頭文を意識的に読む:戻る場所を頭の中に置く
- スクロール位置で場所を覚える:上のほう・真ん中といった粗い記憶で足りる
重要なのは手法そのものではなく、「戻る場所を決めてから戻る」という原則のほうです。原則が同じなら、道具は環境に合わせて替えれば済みます。
どちらで受けるかは読解以外の要素で決める
読解の出題形式は共通ですが、紙と画面では読みやすさや操作感が違います。公式の体験版で画面操作を試したうえで、日程やスピーキング形式も含めて選ぶのが安全です。
なお、メモ用紙の扱いや会場での運用は変更されることがあります。受験前にS-CBT公式FAQをご確認ください。
読解が伸びる人は、振り返りを原因別に記録している
演習では、解いた後の振り返りまでを1セットにします。
多くの人は正答率を記録します。しかし正答率は結果であって、原因の情報を含んでいません。
「7問中4問正解」と記録しても、次に何をすればいいかは分かりません。記録すべきは点数ではなく、間違えた理由の分類です。
複雑な分類は要りません。この記事で扱った3つに割り振るだけです。
| 記録する分類 | 次にやること |
|---|---|
| 語彙で止まった | その語を単語帳側へ回す |
| 設問タイプを間違えた | 判別の練習を1本追加する |
| 往復が多かった | 戻った理由と範囲を次回は記録する |
分類がそのまま次の行動になっているのがポイントです。記録が行動に結びつかないなら、記録する意味がありません。
1本だけでは問題との相性に左右されます。1週間分を並べて、どの分類が繰り返し出るかを見ます。
語彙で止まった記録が多いなら、翌週は語彙と復習へ時間を多めに配分します。感覚ではなく、記録をもとに学習比率を変えられることが価値です。
ここまでの内容を、実行できる形にまとめます。2週間で完治するという意味ではなく、原因を記録し、次の学習配分を決めるための見直しメニューです。

第1週:判別だけを練習する
最初の週は、正解を出すことを目的にしません。
この週は「設問タイプと最初に見る範囲を説明できるか」を中心に見ます。正答も確認し、分類の仕方がずれていないかを直します。
第2週:時間を計って通しで解く
2週目で初めて時間を計ります。ここで判別の練習が効いてきます。
この週は「最後まで到達したか」と「正答率が落ちていないか」をセットで見ます。速く終えても正答率が大きく下がったなら、配分を調整し直します。
読解でやりがちな失敗が4つある
最後に、避けたい進め方を挙げておきます。どれもよく見かけるものです。
語彙や設問判別で止まっている人が速読だけを練習しても、原因には届きません。手法を選ぶ前に、時間を使った場所を記録します。
日本語に置き換えながら読むと、処理が二重になります。設問に必要な情報だけ取れば足りるのに、全文の理解を目指すと時間が足りなくなります。
学校の授業で全訳に慣れていると、この癖は抜けにくいものです。試験の読解は、理解の深さではなく設問への回答が目的だと切り替えてください。
改定で作文が2題になったため、後回しにすると書き切れないリスクが以前より高くなりました。時間配分の設計を、改定前のまま使わないことです。
上の級の文章を読むことは学習になりますが、現在の級で時間切れになる原因は測れません。まず受験級の公式問題を基準にし、上の級は追加練習として扱います。
- 原因を切り分けずに速読へ行く
- 全訳しようとする
- ライティングの時間を残さない
- 受験級を測らず上の級だけで練習する
英検リーディングのよくある質問
ここまでの診断と時間配分を実践するときに迷いやすい点をまとめます。設問数の改定、読む順序、語彙、S-CBTを短く確認してください。
2024年の改定でリーディングは易しくなりましたか?
1級・準1級・2級・準2級では設問数が減りましたが、同時にライティングが1題増えました。3級のリーディング設問数は変更されていません。設問数だけで易化・難化は決めず、現在の公式問題で筆記全体の所要時間を測ってください。
設問を先に読むべきですか?
方法は問題形式と本人の処理負荷で変わります。まず設問文だけ先に読む方法を試し、次の公式問題では本文から読む方法を試してください。所要時間と正答率が安定するほうを採用します。
長文は何本くらい解けばいいですか?
固定の本数はありません。1本ごとに、所要時間・正答率・詰まった原因を残せる量を基準にします。解きっぱなしで本数だけを増やさないことが大切です。
3級は改定の影響を受けていないのですか?
リーディングの設問数は変更されていませんが、ライティングが1題増え、筆記時間が50分から65分に延びました。延長分をすべてリーディングへ足さず、2題のライティングを含めて配分します。
知らない単語が出てきたら、どうすればいいですか?
前後から意味を推測できるかを短く確認し、止まり続けるなら印を付けて先へ進みます。試験後は、その語が正答に必要だったかも含めて復習してください。
大問1と長文、どちらから解くべきですか?
全員共通の順序はありません。大問1から始める方法と長文から始める方法を公式問題で試し、未回答数・所要時間・正答率が安定する順序を選びます。
速読のトレーニングは無意味ですか?
無意味ではありません。ただし、未知語や読み直しが主因なら、速読だけで解決しないことがあります。先に時間の内訳を測り、速度が主因だと確認できた場合に取り入れます。
S-CBTでも問題形式は同じですか?
英検S-CBTも2024年5月実施分から改定後の形式になっています。従来型とS-CBTで出題形式は共通です。
まとめ:速く読むより、往復を減らす
最後に、判断に迷ったときのために順序だけ整理しておきます。
- 設問数の減少だけで余裕は計算できない:ライティング追加まで含めて測ります
- 原因はまず3方向で確認する:語彙・設問判別・読み直しです
- 固定の解く順や捨て順は作らない:公式問題の記録から決めます
- 切り分けてから手を打つ:原因が違えば練習も違います
英検のリーディング対策で最初にやるべきことは、教材選びでも速読でもありません。自分がどこで詰まっているかを判定することです。
判定できれば、次に試す練習を選びやすくなります。手法を増やす前に、原因と練習を対応させることが大切です。
判定では、辞書なし・時間制限なしで意味が取れるかだけでなく、どの設問で、どの段落へ、何を確かめるために戻ったかも記録します。1本で仮説を立て、数本で繰り返す原因を確認してください。
次に読む記事は、切り分けの結果で選んでください。
- 語彙で止まっている → 英検の単語はどこまで覚えるか
- 長文の解き順を固めたい → 英検の長文の解き順
- 聞き取りも不安がある → 英検リスニングの対策
- 全体像から確認したい → 英検とは?改定で変わった点


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