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【助動詞】法助動詞shallの用法とコアイメージ

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英文法
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この記事では、〈助動詞〉の shall について扱います。

一般的に shall という助動詞は、存在自体は知られていながらも、実際の使い方・用法・意味はよく知られていない助動詞の1つです。

この記事では、そんな存在こそは知られているものの、あまり素性を理解されていない助動詞shall の「用法」「コアイメージ」を見ていきましょう。

助動詞 shall の「用法」と「コアイメージ」
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結論:shall の用法とコアイメージ

はじめに、shall用法とそこに共通するコアイメージを提示します。

shall の用法『決意』『強制力』『命令/規則』
『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』
shall のコアイメージshall 用法 コアイメージ
ここから先は、この「用法」「コアイメージ」の全体像を細かく見ていきます。
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shall の用法について

最初に示した通り、shall には次のような用法が存在します。

shall の用法『決意』『強制力』『命令/規則』
『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』

このように見ると、shall の用法は意外にも数多く存在することが分かります。

『 』の用語がそれぞれどんな例文と対応しているのか見ていきましょう。

『決意』の用法

『決意』We shall fight and we shall win.
「我々は断固として戦い、そして勝利するのだ」
例文から分かるように、この用法は will の『意志』とほぼ・・同じです。しかし、shall の方が公的で厳格な場面(演説や式典など)で用いられることが多いです。shall を用いると、その内容(例文では「戦い、勝利する」ということ)が実現することを話者が保証・確約していることが示されます。以上のことから、このshallの用法は『意志』ではなく、もっと厳格な響きをもつ『決意』と表記しています。

『強制力』の用法

『強制力』の用法は少し複雑なので例文を2つ載せておきます。

『強制力』You shall have the bag.
「バックを買ってあげるよ」
『強制力』 He shall regret saying so.
「そう言わせたことを彼に後悔させてやる」
2・3人称の主語に対して用いられます。【発話内容で言及されている行為】(ここでは「バックを持つ」、「後悔する」という行為)を、話者が実現させる『強制力』を持つという意味になります。意味に場面に応じて『約束』や『脅し』の意味になります。例えば、【あなたがバックをもつ】という行為を実現させる『強制力』を話し手がもつということは、「話し手がバックを買ってあげる」という『約束』の意味として解釈できます。2つ目の例文は『脅し』の意味です。

『命令/規則』の用法

『命令/規則』You shall not steal.
「盗んではならない」(聖書: モーセの十戒)
『命令/規則』Candidates shall remain in their seats until all the papers have been collected.
「受験生は全ての解答用紙が回収されるまで席にいなければならない」
この『命令/規則』は、公的な指示や規則、形式ばった文書や書簡などにおいて、3人称の主語に対して用いられます。shallは聖書の中で多くみられるように堅い表現です。

『意向確認』の用法

疑問文で、1人称単数の主語に対して用いられます。

『意向確認』Shall I wait for you here ?
「ここでお待ちしましょうか?」
主語が1人称ですが、聞き手(2人称)の意向を尋ねる意味になります。「Shall I ~?」の疑問文は、「相手の同意(Yes)が得られるだろう」と話し手が想定している場合に用いられます。

『提案/勧誘』の用法

疑問文で、1人称複数の主語に対して用いられます。

『提案/勧誘』Shall we dance ?
「一緒に踊りませんか?」
受験英語でお馴染みの「Let’s ~ = Shall we ~ ?」です。ただ、1つ前の『意向確認』と同様に、「相手の同意(Yes)が得られるだろう」と話し手が想定している場合に用いられます。

『単純未来』の用法

1人称主語に対して用いられます。

『単純未来』I shall leave at two o’clock.
「私は2時に出発します」
これも will の『単純未来』とほぼ同じです。違いとしては、①主にイギリス英語で用いられる、②フォーマルな表現、などが挙げられます。

shall の用法のおさらい

ここまで見てきた shall の用法をまとめておきます。

shall の用法『決意』『強制力』『命令/規則』
『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』
もう一度見返したい用法の例文があれば、下のボタンをクリックしてください。
We shall fight and we shall win.
「我々は断固として戦い、そして勝利するのだ」
You shall have the bag.
「バックを買ってあげるよ」
He shall regret saying so.
「そう言わせたことを彼に後悔させてやる」
You shall not steal.
「盗んではならない」(聖書: モーセの十戒)
Candidates shall remain in their seats until all the papers have been collected.
「受験生は全ての解答用紙が回収されるまで席にいなければならない」
Shall I wait for you here ?
「ここでお待ちしましょうか?」
Shall we dance ?
「一緒に踊りませんか?」
I shall leave at two o’clock.
「私は2時に出発します」

 

ここから先は、これらの shall の用法に共通するコアイメージを扱っていきます。

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shall のコアイメージ

ここまで shall の用法をいくつか挙げてきましたが、それらに一貫したコアイメージは存在するのでしょうか?

イラストで表してみました。

shall 用法 コアイメージ
いくつか補足説明していきます。
補足説明①一本の線路の傍で天使が「一方通行」の標識を持っています。このことによって、『決意』『強制力』『命令/規則』を表しています。また天使を登場させたのは、shall は古風な響きを持ち聖書などの形式ばった文書で用いられるからです。
補足説明②しかしこのイラストには問題点があります。それは、『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』を上手く表現できない点です。あくまで簡単なイメージとして参考にしてください。
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最後に〈法助動詞〉について

かなりハイレベルな話なので、読み飛ばしていただいても構いません

最後に少しハイレベルなお話をします。

今回の記事で扱ってきた助動詞 shall は、助動詞の中でも〈法助動詞〉と呼ばれるグループに分類されています。

  • 〈法助動詞〉とは何か?』
  • 『そもそも助動詞にはいくつ種類があるのか?』

このような助動詞の大まかな説明や全体像については、ぜひこちらをご参照ください↓
【助動詞】 助動詞の種類・分類について

そして、shall を含む〈法助動詞〉には、大きく2つの種類の用法が存在すると言われています。

それが、〈根源的用法〉〈認識的用法〉というものです。

法助動詞の2つの用法

先ほど紹介した shall の用法を、これらの〈根源的用法〉と〈認識的用法〉に当てはめるとどうなるでしょうか?

shall の場合は、このようになります。

  • 〈根源的用法〉= 『決意』、『強制力』、『命令/規則』、『意向確認』、『提案/勧誘』
  • 〈認識的用法〉= 『単純未来』
例文を紹介したときに、で色を変えていたのは〈根源的用法〉〈認識的用法〉を区別するためです。

これ以上はあまり詳しく説明しませんが、〈法助動詞〉と呼ばれる助動詞には、〈根源的用法〉と〈認識的用法〉と呼ばれるものがある、ということを少しだけ付け加えておきます。

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全体のまとめ

今回は、助動詞の中でも〈法助動詞〉と呼ばれる種類の助動詞である shall を見てきました。

shall の用法とコアイメージをまとめておきます。

shallの用法

  • 【決意】We shall fight and we shall win.
    「我々は断固として戦い、そして勝利するのだ」
  • 【強制力】You shall have the bag.
    「バックを買ってあげるよ」
  • 【命令/規則】 Candidates shall remain in their seats until all the papers have been collected.
    「受験生は全ての解答用紙が回収されるまで席にいなければならない」
  • 【意向確認】Shall I wait for you here ?
    「ここでお待ちしましょうか?」
  • 【提案/勧誘】Shall we dance ?
    「一緒に踊りませんか?」
  • 【単純未来】I shall leave at two o’clock.
    「私は2時に出発します」
コアイメージshall 用法 コアイメージ
みなさんの shall の理解が深まれば嬉しく思います。

関連コンテンツの紹介

今回の内容に関連した記事をご紹介します。

【他の助動詞の用法とコアイメージ】

【助動詞】法助動詞willの用法とコアイメージ

【助動詞】法助動詞 can の用法とコアイメージ

【助動詞】法助動詞mayの用法とコアイメージ

【助動詞そのものについて】

【助動詞】助動詞の種類・分類について

 

助動詞については他にもかなり詳しく扱っています

今回もご覧いただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。

 

[参考文献]

  • 安井稔 (1983)『改訂版 英文法総覧』開拓社
  • 吉波和彦 他 (2011)『ブレイクスルー総合英語(改訂二版)』美誠社
  • 大西泰斗、ポール・マクベイ (2017)『総合英語 FACTBOOK これからの英文法』桐原書店
  • 佐藤芳明 他 (2009) 『レキシカル・グラマーへの招待 -新しい教育英文法の可能性』開拓社
  • 中野清治 (2014)『英語の法助動詞』開拓社

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