この記事では、〈助動詞〉の shall について扱います。
一般的に shall という助動詞は、存在自体は知られていながらも、実際の使い方・用法・意味はよく知られていない助動詞の1つです。
この記事では、そんな存在こそは知られているものの、あまり素性を理解されていない助動詞shall の「用法」と「コアイメージ」を見ていきましょう。
結論:shall の用法とコアイメージ
はじめに、shall の用法とそこに共通するコアイメージを提示します。
『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』
shall の用法について
最初に示した通り、shall には次のような用法が存在します。
『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』
このように見ると、shall の用法は意外にも数多く存在することが分かります。
『 』の用語がそれぞれどんな例文と対応しているのか見ていきましょう。
『決意』の用法
「我々は断固として戦い、そして勝利するのだ」
『強制力』の用法
『強制力』の用法は少し複雑なので例文を2つ載せておきます。
「バックを買ってあげるよ」
「そう言わせたことを彼に後悔させてやる」
『命令/規則』の用法
「盗んではならない」(聖書: モーセの十戒)
「受験生は全ての解答用紙が回収されるまで席にいなければならない」
『意向確認』の用法
疑問文で、1人称単数の主語に対して用いられます。
「ここでお待ちしましょうか?」
『提案/勧誘』の用法
疑問文で、1人称複数の主語に対して用いられます。
「一緒に踊りませんか?」
『単純未来』の用法
1人称主語に対して用いられます。
「私は2時に出発します」
shall の用法のおさらい
ここまで見てきた shall の用法をまとめておきます。
『意向確認』『提案/勧誘』『単純未来』
「我々は断固として戦い、そして勝利するのだ」
「バックを買ってあげるよ」
He shall regret saying so.
「そう言わせたことを彼に後悔させてやる」
「盗んではならない」(聖書: モーセの十戒)
Candidates shall remain in their seats until all the papers have been collected.
「受験生は全ての解答用紙が回収されるまで席にいなければならない」
「ここでお待ちしましょうか?」
「一緒に踊りませんか?」
「私は2時に出発します」
ここから先は、これらの shall の用法に共通するコアイメージを扱っていきます。
shall のコアイメージ
ここまで shall の用法をいくつか挙げてきましたが、それらに一貫したコアイメージは存在するのでしょうか?
イラストで表してみました。
最後に〈法助動詞〉について
かなりハイレベルな話なので、読み飛ばしていただいても構いません
最後に少しハイレベルなお話をします。
今回の記事で扱ってきた助動詞 shall は、助動詞の中でも〈法助動詞〉と呼ばれるグループに分類されています。
- 『〈法助動詞〉とは何か?』
- 『そもそも助動詞にはいくつ種類があるのか?』
このような助動詞の大まかな説明や全体像については、ぜひこちらをご参照ください↓
➤【助動詞】 助動詞の種類・分類について
そして、shall を含む〈法助動詞〉には、大きく2つの種類の用法が存在すると言われています。
それが、〈根源的用法〉と〈認識的用法〉というものです。
先ほど紹介した shall の用法を、これらの〈根源的用法〉と〈認識的用法〉に当てはめるとどうなるでしょうか?
shall の場合は、このようになります。
- 〈根源的用法〉= 『決意』、『強制力』、『命令/規則』、『意向確認』、『提案/勧誘』
- 〈認識的用法〉= 『単純未来』
これ以上はあまり詳しく説明しませんが、〈法助動詞〉と呼ばれる助動詞には、〈根源的用法〉と〈認識的用法〉と呼ばれるものがある、ということを少しだけ付け加えておきます。
全体のまとめ
今回は、助動詞の中でも〈法助動詞〉と呼ばれる種類の助動詞である shall を見てきました。
shall の用法とコアイメージをまとめておきます。
shallの用法
- 【決意】We shall fight and we shall win.
「我々は断固として戦い、そして勝利するのだ」 - 【強制力】You shall have the bag.
「バックを買ってあげるよ」 - 【命令/規則】 Candidates shall remain in their seats until all the papers have been collected.
「受験生は全ての解答用紙が回収されるまで席にいなければならない」 - 【意向確認】Shall I wait for you here ?
「ここでお待ちしましょうか?」 - 【提案/勧誘】Shall we dance ?
「一緒に踊りませんか?」 - 【単純未来】I shall leave at two o’clock.
「私は2時に出発します」
関連コンテンツの紹介
今回の内容に関連した記事をご紹介します。
【他の助動詞の用法とコアイメージ】
【助動詞そのものについて】
助動詞については他にもかなり詳しく扱っています
また次の記事でお会いしましょう。
[参考文献]
- 安井稔 (1983)『改訂版 英文法総覧』開拓社
- 吉波和彦 他 (2011)『ブレイクスルー総合英語(改訂二版)』美誠社
- 大西泰斗、ポール・マクベイ (2017)『総合英語 FACTBOOK これからの英文法』桐原書店
- 佐藤芳明 他 (2009) 『レキシカル・グラマーへの招待 -新しい教育英文法の可能性』開拓社
- 中野清治 (2014)『英語の法助動詞』開拓社
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