歴史言語学に関連する用語をまとめておきます。
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【歴史言語学】-れきしげんごがく-(Historical Linguistics)
言語の発展と変化を時間を追って研究する学問分野。言語の形態(音韻、文法、語彙)の変遷を追い、言語の起源、分岐、絶滅などを明らかにする。比較言語学はこの分野の一部であり、主に異なる言語間の比較を通じて、言語の歴史的関係や言語変化のメカニズムを解明する。歴史言語学はより広範な視野を持ち、単一言語の時間的変化だけでなく、言語間の比較や言語接触の研究も含む。
【比較言語学】-ひかくげんごがく-(Comparative Linguistics)
異なる言語間の類似点と差異を分析することにより、言語の歴史的関係を研究する学問分野。語彙、文法、音韻などの比較を通じて、言語の進化や語族の関係性を明らかにする。歴史言語学の一分野であり、より狭い範囲に特化して、言語間の系統関係を解明するのが主な目的。
【語族】-ごぞく-(Language Family)
共通の起源を持つと考えられる言語群。例えば、インド・ヨーロッパ語族には英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語などが含まれる。
【語派】-ごは-(Language Branch)
語族をさらに細分化した言語のグループ。言語族内でより具体的な共通の特徴を持つ言語の集まり。
【語根】-ごこん-(Root)
語の基本的な意味を持つ最小単位。語形変化や派生によって、様々な語形を生み出す基礎となる。
【語形変化】-ごけいへんか-(Morphological Change)
言語の時間経過に伴う形態素の形状や機能の変化。例えば、複数形や時制の変化など。
【音韻変化】-おんいんへんか-(Phonetic Change)
言語の音韻体系が時間の経過とともに変化する現象。この変化には、音の挿入、省略、置換などが含まれる。
【音法則】-おんほうそく-(Sound Law)
特定の言語または言語群における音韻変化の規則性。音韻変化が系統的で予測可能なパターンに従うことを示す。
【形態論的変化】-けいたいろんてきへんか-(Morphological Change)
言語の形態素が時間の経過に伴い変化する過程。これには、新しい形態素の形成、既存の形態素の消失、形態素の意味や機能の変化が含まれる。
【構文変化】-こうぶんへんか-(Syntactic Change)
言語の文の構造や語順が時間の経過とともに変化する現象。これにより、文の意味や文の組み立て方に影響を与える。
【借用語】-しゃくようご-(Loanword)
他の言語から取り入れられた語。文化的接触や言語接触を通じて、ある言語が他言語の語彙を借用する現象。
【言語接触】-げんごせっしょく-(Language Contact)
異なる言語が地理的または社会的に接触することにより、相互に影響を及ぼし合う現象。借用語の採用、文法構造の変化などが起こる。
【音声対応】-おんせいたいおう-(Phonetic Correspondence)
異なる言語または方言間で観察される音韻的な類似性。比較言語学において、共通の起源を持つ言語を特定する手がかりとなる。
【反復法】-はんぷくほう-(Comparative Method)
比較言語学において、関連言語間の類似点を系統的に分析し、共通の祖先言語を再構するための方法論。
【言語再構】-げんごさいこう-(Linguistic Reconstruction)
文献記録が存在しない過去の言語形態を、関連する現代言語の比較分析を通じて推測する過程。
【言語分岐】-げんごぶんき-(Language Divergence)
単一の言語から複数の異なる言語が進化する過程。時間の経過とともに、初期の共通言語から方言や新しい言語が生まれる。
【絶滅言語】-ぜつめつげんご-(Extinct Language)
もはや話者が存在しない言語。文化的変化や他の言語との接触により、使用が停止された。
【ピジン言語】-ぴじんげんご-(Pidgin Language)
異なる言語背景を持つ人々がコミュニケーションを取るために発展した、簡略化された接触言語。通常、限られた語彙と文法を持つ。
【クレオール言語】-くれおーるげんご-(Creole Language)
ピジン言語が母語として固定化し、完全な言語体系を持つようになった言語。より複雑な語彙と文法構造を持つ。
【言語変種】-げんごへんしゅ-(Language Varieties)
ある言語内で観察される異なる形式や使用のバリエーション。方言、社会言語学的変種、レジスターなどが含まれる。
【方言連続体】-ほうげんれんぞくたい-(Dialect Continuum)
地理的に隣接する地域間で、方言が徐々に変化していく現象。一つの方言が次第に別の方言へと変わっていく過程を指す。
【音声変異】-おんせいへんい-(Phonological Variation)
言語内でまたは言語間で観察される音声の差異。この変異は地理的、社会的、文脈的要因によって生じることがある。
【言語変種】-げんごへんしゅ-(Linguistic Varieties)
特定の言語内の変種を指し、方言、社会言語学的変種(レジスター、スタイルなど)、または特定の社会集団によって使用される言語形式を含む。
【類型論】-るいけいろん-(Typology)
異なる言語間の共通点と差異を分類し、言語の普遍的特徴や構造的多様性を研究する言語学の分野。
【音韻法則】-おんいんほうそく-(Phonological Rules)
言語内の音韻変化や音韻の組み合わせを規定する体系的なルール。これらは特定の言語の音韻体系を理解する上で重要。
【語彙統合】-ごいとうごう-(Lexical Assimilation)
異なる言語由来の語彙が、ある言語の音韻体系や文法規則に従って変化し、その言語の一部として統合される過程。
【文法化】-ぶんぽうか-(Grammaticalization)
語彙項目が時間の経過とともに文法的な要素(接辞、助詞など)に変化する言語変化の過程。
【逆文法化】-ぎゃくぶんぽうか-(De-grammaticalization)
文法化の逆過程で、文法的な要素が再び語彙項目やより自由な形式に戻る現象。
【相互理解可能性】-そうごりかいかのうせい-(Mutual Intelligibility)
二つ以上の言語または方言が話者によって相互に理解される程度。この程度は、言語間の類似性に大きく依存する。
【言語シフト】-げんごしふと-(Language Shift)
ある社会集団が使用する主要言語が、他の言語に置き換わる社会言語学的現象。
【代替言語】-だいたいげんご-(Alternate Language)
主要言語とは異なる、補助的または特定の文脈で使用される言語。
【二重形式】-にじゅうけいしき-(Doublets)
同じ語源から派生したが、異なる意味や用法を持つ語彙のペア。例えば、英語の「ward」と「guard」。
【言語混合】-げんごこんごう-(Language Mixing)
二つ以上の言語が混在し、新たな言語形式や方言が生まれる現象。ピジン言語やクレオール言語の形成に関連する。
【言語層】-げんごそう-(Linguistic Strata)
ある言語内に存在する、異なる言語由来の要素の層。例えば、借用語に見られる言語の歴史的層。
【音声挿入】-おんせいそうにゅう-(Phonetic Insertion)
言語の発音過程で、追加の音が挿入される現象。この挿入は、特定の音韻環境下で発生することが多い。
【消滅語彙】-しょうめつごい-(Obsolete Lexicon)
使用されなくなり、忘れ去られた語彙。文化的変化や言語の進化により、一部の語彙は時代とともに消滅する。
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