言語学

【意味論④】メタ言語と対象言語

言語学
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くりこの『意味論③』では、〈メタ言語〉と〈対象言語〉について扱います。

  • メタ言語と対象言語とは何か?
  • メタ言語と対象言語の具体例
  • メタ言語と対象言語の課題

このような内容を見ていきましょう。

今回のテーマメタ言語と対象言語について
この記事では、自然言語(≒人間言語)における〈メタ言語〉のみを扱います。プログラミング言語などでも〈メタ言語〉と呼ばれる概念が登場しますが、当記事では触れません。
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意味論の全体像はこちら

「意味論とは何か?どのような分野でどのような種類があるのか?」という意味論の全体像については、別記事で詳しく解説しています。

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メタ言語と対象言語の定義

まずは用語の定義から見ていきましょう。

メタ言語ある言語について説明・記述するために用いられる言語
対象言語メタ言語によって説明・記述される側の言語
〈メタ言語〉と〈対象言語〉は「する」と「される」の関係性にあります。

メタ言語と対象言語の区別を設ける必要性

言語学(特に意味論)では、言語について述べる学問であるため、「述べるために使う言語」「述べられる言語」を区別しておく必要があります。こうした背景を踏まえ、「述べるために使う言語」を〈メタ言語〉、「(メタ言語によって)述べられる側の言語」を〈対象言語〉と呼んでいます。
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メタ言語と対象言語の具体例

〈メタ言語〉と〈対象言語〉の定義を確認したところで、具体例を見てみましょう。いくつか例を見ることで、理解が深まると思います。

例1

This is a pen という文における主語は、this である。

このような記述の場合、

  • メタ言語は、日本語
  • 対象言語は、英語

となります。

例2

現代日本語の「サ行変格活用」は、「する」とその複合語である

この記述の場合、

  • メタ言語は、日本語
  • 対象言語は、日本語

となります。

例3

今までは、意図的な文の記述を見てきましたが、実は身の回りにも『メタ言語と対象言語の集合体』が存在しています。

それが、『辞書』です。

例えば、「書籍」という語を辞書で引いてみましょう。

『goo 辞書』より

すると、上のような説明が出てきます。

上の画像では、「しょせき【書籍】」という対象言語を、青色の枠内がメタ言語として説明しています。また、辞書では同義語や言い換えがメタ言語レベルとして使用されるのが特徴です。

より一般的に言うならば、辞書の見出し語が〈対象言語〉で、それに関する記載が〈対象言語〉です。このように『辞書』はメタ言語と対象言語で満ち溢れています。

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メタ言語と対象言語に関わる事象「循環定義」

ここまでメタ言語と対象言語の定義・具体例を見てきました。

メタ言語と対象言語の関係性を一言で言うならば、『説明する側と説明される側』となるでしょう。

しかし、ここで時に〈循環定義〉という現象が存在します。

循環定義ある概念を定義するためにその概念自体を用いること

例えば、先ほどの『書籍』という語を考えてみましょう。

 

『書籍』を説明するために『書物』というメタ言語を使います。次に『書物』を説明するために『本』というメタ言語を使います。そして、『本』と調べると『書籍』と出てきます。

もちろん使う辞書によって結果は異なります。

このように、『書籍』という言葉の意味を説明するために、最終的にその『書籍』という言葉自体を用いなければならなくなってしまうのです。

このことを指して〈循環定義〉と呼びます。

循環定義

 

いわゆる「無限ループ」です。

今回の例では、循環定義が発生するまでには数段階ありましたが、瞬間的に循環定義が発生する場合もあります。例えば、『領域』と調べると『分野』と出てきて、『分野』と調べると『領域』と出てきます。「循環の輪」が少ないと、すぐに循環定義を見抜くことができます。

このように、〈メタ言語〉と〈対象言語〉を議論する時は、〈循環定義〉という現象が絡んでくることがあります。

補足説明

全ての言葉が他の言葉によって定義付けられている以上、仕方がないことです。また、数学などで「理論Aを証明するために、理論Aから導き出される公式Bを使う」という証明論理は成立しません。

メタ言語として有用性のあるイメージスキーマ

今まで見てきたように、私たちは「言葉を言葉で説明することの難しさ」を抱えています。

そのような中で登場した考え方が、本当に大雑把に言ってしまうと「言葉を言葉で説明しなければ良い」というものです。

そのような考え方に基づいたのが認知言語学の〈イメージスキーマ〉という概念・戦略です。

✔関連記事
➤➤【認知言語学概論⑤】イメージスキーマ

認知言語学については詳しい記事を作成しているので、興味があればぜひご覧ください。

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全体のまとめ

以上で『意味論③』は終了です。

今回は〈メタ言語〉と〈対象言語〉を見てきました。

  • メタ言語
    ある言語について説明・記述するために用いられる言語
  • 対象言語
    メタ言語によって説明・記述される側の言語
  • メタ言語と対象言語には、循環定義と呼ばれる現象が関係してくる

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関連記事

今回の記事の中で登場した〈循環定義〉は、認知言語学の〈イメージスキーマ〉についての記事でも取り上げています。

➤➤【認知言語学概論⑤】イメージスキーマ

参考文献

  • Saeed, J. I. (2009) Semantics (3rd edition). Wiley-Blackwell.
  • 斎藤純男・田口善久・西村義樹 (2015) 『明解言語学辞典』三省堂

意味論のみならず、言語学の全体像を広く浅く俯瞰するには最適な1冊です。難しい理論や用語ではなく、言語学について勉強してみたいと思う方は必見です。

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