be動詞は、am, is, are, was, were, be, been, being と形が多すぎます。英語を学び始めたとき、ここでいきなり暗記の壁に当たった人も多いはずです。
普通の動詞なら、play / plays / played のように、同じ語の形が少しずつ変わっているように見えます。ところが be動詞は、原形 be から am や is が出てくる理由が見えません。
なぜ、be動詞だけこんなに形がバラバラなのでしょうか。
結論から言うと、be動詞の形は、一つの動詞が不規則に変化したというより、複数の古い語根が一つの役割に集まった結果です。このような現象を補充法と呼びます。
- be動詞は、一つの語が規則的に変化しただけではなく、複数の古い形が合流してできた。
- このように別語源の形が活用表を埋める現象を、補充法と呼ぶ。
- go の過去形 went や good / better も、同じ方向で見られる。
違和感の正体:原形 be なのに am/is/are になる
まず不思議なのは、be という原形と、現在形の am/is/are があまり似ていないことです。普通の動詞なら、形が変わっても中心の語は見えます。
同じ play を中心に形が変わる。
be → am / is / are / was / were
同じ語の変化に見えにくい。
ここで「be動詞は不規則」とだけ覚えると、疑問はそこで止まってしまいます。知りたいのは、なぜここまで形がそろわないのかです。
カギは、be動詞を一つの語がきれいに変化したものとして見ないことです。複数の古い形が、同じ「主語と後ろをつなぐ役割」に集まったものとして見ると、バラバラさに理由が見えてきます。
補充法とは、別の語が同じ活用表を埋めること
補充法とは、一つの語の活用表の中に、もともと別だった語形が入り込む現象です。
たとえば good / better / best を見ると、better は good に語尾を付けた形ではありません。形は似ていませんが、意味の体系としては good の比較級の場所を埋めています。

be動詞も、この補充法で見ると分かりやすくなります。am, is, are, was, were は、同じ一本の語根から規則的に作られた形ではありません。別々の古い形が、be動詞の活用表の中に集まったものです。
be動詞は、複数の古い語根が一つに合流した
be動詞のバラバラさは、「一つの語が変な変化をした」というより、「別々の語根が一つの動詞グループに合流した」と見るほうが自然です。

大まかには、am / is 系、are / were 系、be 系のように、由来の違う形が一つの表に並んでいます。細かな語源には諸説や専門的な整理がありますが、ここで大切なのは、現在の形が一つの規則だけでできているわけではない、という点です。
| 現代英語の形 | 見方 |
|---|---|
| am / is | 存在を表す古い形の流れ |
| are / were | 別の古い形の流れ |
| be / been / being | さらに別の語根の流れ |
いまは一つの be動詞として習いますが、歴史的には複数の流れが合わさっています。だから、play / plays / played のようにはそろわないのです。
go の過去形 went も、同じ補充法で説明できる
補充法は be動詞だけの話ではありません。英語で有名なのが go / went です。
go の過去形は、普通なら goed になりそうです。ところが実際には went です。これは、went がもともと別の動詞 wend の過去形だったものが、go の過去形の場所に入り込んだからです。

be動詞の am/is/are/was/were も、go / went と同じ方向で見ると、ただの「暗記しにくい例外」ではなくなります。
形が似ていないときは、別の歴史が混ざっているかもしれません。英語の不規則には、こうした古い合流の跡が残っています。
よく使う語ほど、古い形が残りやすい
be は英語でもっともよく使われる動詞の一つです。よく使う語は、毎日のように聞かれ、話され、丸ごと記憶されます。
そのため、かえって規則的な形に置き換わりにくくなります。I am, you are, he is のような形は、文法表の中だけでなく、日常の決まり文句として強く固定されています。
be動詞がバラバラなのは、重要でよく使われる語だからこそ、とも言えます。
もし be があまり使われない動詞なら、もっと単純な形にそろっていたかもしれません。けれど実際には、毎日使われるからこそ、古い形が強く残りました。
日本語にも、別の語が同じ役割を埋める例がある
補充法のような現象は、英語だけの特別なものではありません。日本語でも、同じ意味領域の中に、由来の違う語が入り込むことがあります。

たとえば「行く」に対して、敬語では「いらっしゃる」「参る」など、まったく違う形を使います。これは英語の活用表と同じではありませんが、「同じ意味領域を別の語が担う」という点では近い発想です。
こうして見ると、be動詞の不規則は、英語だけの変な例外ではありません。言語はよく使うところほど、古い形や別の由来を抱え込むことがあります。
まとめ:be動詞のバラバラさは、壊れた規則ではなく歴史の合流
最後に、be動詞の形がそろわない理由をまとめます。
be動詞は、現在の表だけを見ると am / is / are / was / were がバラバラに見えます。けれど歴史的には、複数の古い語根が「主語と後ろをつなぐ」という同じ役割に集まったものです。
だから、be動詞のバラバラさは、単なる例外ではありません。別々の歴史が一つの動詞に合流した跡です。
- be動詞は、一つの語が規則的に変化しただけではない。
- 別々の語根が同じ活用表を埋める現象を、補充法と呼ぶ。
- go / went も、別語源の形が入り込んだ補充法の例。
- よく使う語ほど、古い不規則な形が残りやすい。
be動詞は最初に覚える動詞ですが、英語史の深い話が詰まっています。丸暗記のあとに理由を知ると、形のバラバラさが少し落ち着いて見えます。
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英語史全体は、英語史とは?でまとめています。補充法の別例として、go の過去形はなぜ went なのかも近い記事です。
母音変化による不規則は、sing-sang-sung はなぜ母音が変わるのかで扱っています。
FAQ
A. 現代英語では一つの動詞として働きますが、形の歴史には複数の語根が関わっています。
A. 使用頻度が非常に高く、古い形が丸ごと残りやすかったためです。
A. 珍しいですが、基本語には見られます。よく使う語ほど古い不規則を保ちやすいです。


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