He is as tall as I am. を見ると、as が二度も現れます。「私と同じくらい背が高い」と言うだけなら、なぜ as を二回置くのでしょうか。二つ目の as のあとが I am だけで終わるのも、少し置き去りにされる感じがします。
as … as を一まとまりで覚えていると、語順は再現できても、as fast as she can や not as difficult as that one に出会ったときに後ろ側の意味が曖昧になりがちです。どこまでが決まり文句で、どこからが文の意味を作る部分なのかが見えにくいからです。
二つの as は、同じ語をただ重ねているのではなく、比較に必要な別の役目を分けているようです。He is as tall as I am. という身長を比べる一文を手がかりに、その役目の違いを考えてみましょう。
as が二つあると、なぜ一つで足りないように感じるのか
「同じくらい」を as … as で作る、と覚えると、空欄問題は解けます。けれど He is as tall as I am. に出会ったとき、「前の as と後ろの as は同じものなのか」「I am の後ろに tall がないのはなぜか」と聞かれると、答えにくいものです。
日本語では「私と」「同じくらい」がひとかたまりに聞こえます。比べる相手と程度を、語順のなかでわざわざ離して置く必要もありません。だから英語の as tall as は、同じ札を二枚並べただけの形に見えます。
ところが、一枚を消すと文が何を言いたいのか決まりません。
「彼はある程度まで背が高い」――でも、どの高さに合わせるのかがない。
He is tall as I am.
「私と比べて高い」のような手がかりはあっても、同じ程度だとは言えない。
前半だけでは、どの高さに合わせるのかが分かりません。後半だけでも、二人の高さが同じなのか、それとも違うのかが決まりません。どちらも何かが足りないのです。では、as tall as のなかで、何と何が別々に置かれているのでしょうか。

as … as を一つのかたまりで覚えていたから、後ろの as が何をしているのか見えていませんでした。
その感覚は自然です。かたまりとして覚えるより、真ん中と両端に何が置かれているかを見るほうが、語順が崩れにくくなります。
原級比較の as … as は「程度」と「基準」の役割分担
as tall as を理解するカギは、二つの as を別々に読むことです。最初の as が tall の程度を準備し、二つ目の as が比較する相手を示します。真ん中にある tall は、何を比べるのかを表す語です。

一つ目の as は、形容詞に目盛りを当てる
He is as tall … の最初の as は、tall に「同じ程度まで」という目盛りを当てます。very tall の very も tall の度合いを強めますが、very は比較相手を呼びません。as は、あとで基準に合わせるための程度を先に用意する語です。
形容詞や副詞を、比べられる程度として置く部分です。
as tall / as fast / as carefully / as expensive
ここで使うのは比較級ではなく原級です。taller や faster には、すでに「より〜だ」という差の意味が入っています。as … as が言うのは差ではなく、まず同じ目盛りに合わせることです。だから as taller as とは言いません。
二つ目の as は、目盛りを合わせる相手を出す
後ろの as は「では、その目盛りを誰に合わせるのか」を知らせます。He is as tall as I am. なら I am、She runs as fast as her brother does. なら her brother does が基準です。
この as は、前の as の音を繰り返しているだけではありません。比較の基準を導くため、あとには名詞、代名詞、節、possible のような到達点が来ます。
| 文 | 真ん中で比べるもの | 後ろの基準 |
|---|---|---|
| My bag is as heavy as yours. | 重さ | your bag |
| She speaks as clearly as her teacher. | 話し方の明瞭さ | her teacher |
| Please come as soon as possible. | 早さ | possible(可能な限界) |
日本語にすると全部「同じくらい」になりがちですが、英文では「程度」と「基準」が別の位置を持っています。ここが、原級比較の骨組みです。
自分で文を作るときも、最初から as … as を丸ごと置く必要はありません。先に「何を比べるか」を決めます。身長なら tall、値段なら expensive、作業の丁寧さなら carefully です。次に、その言葉の前へ as を置きます。最後に、誰や何を基準にするのかを後ろの as のあとへ置けば、文の並びができます。
1. 比べる性質:expensive
2. その程度を置く:as expensive
3. 基準をつなぐ:as yours
これは英作文のためだけの手順ではありません。長い文を読むときにも、真ん中の性質と、後ろの基準を見つけるだけで、二つの as の役割を取り違えにくくなります。
たとえば比較する相手が人でなくても、your old phone、the previous report、last year のような名詞句を後ろへ置くだけです。基準を表す部分が長くなっても、as の役割そのものは変わりません。
ここで大切なのは、二つ目の as の直後に必ず「人」が来るわけではないことです。as fast as possible の possible は、人ではなく「可能な限界」を基準にしています。as early as Monday の Monday は、早さを合わせる基準ではなく「月曜日という早い時点」を指します。後ろ側の as は、広く言えば程度を測るためのよりどころを連れてくる場所です。
また、as much as と as many as も、この骨組みから外れません。I have as much time as you. なら比べるのは時間の量、I have as many books as you. なら本の数です。形容詞 tall の代わりに much や many を置いているだけで、最初の as が程度を作り、後ろの as が基準を示す流れは同じです。
He is as tall as I am の後半を戻すと、省略の正体が見える
二つ目の as のあとが短く見えるのは、比較に必要な語が消えたからではありません。前にすでに出た語を、英語が繰り返さずに省いているからです。

He is as tall as I am. は、意味をほどけば He is as tall as I am tall. です。後ろでも I am tall と言えば、彼と私が同じ「背の高さ」を比べていることがはっきりします。ただし tall を二度言っても、新しい情報は増えません。そこで後半の tall が省かれます。
彼は、私が背が高いのと同じ程度に背が高い。
後半の tall を省く → He is as tall as I am.
主語と be 動詞まで省くこともあります。He is as tall as I. は、会話やくだけた文でよく見かける形です。学校文法では He is as tall as I am. を基本として学びますが、どちらも比較の基準は I です。
than I と than me に似た迷いがここにもある
She is as patient as I am. のように節で言えば、I が主語だと明白です。一方、She is as patient as me. も会話では広く使われます。前置詞の後ろの目的格のように me を置く感覚が働くためです。
ただ、学校英語や文章で迷ったら、省略を戻せる He is as tall as I am. を選ぶと安全です。than の後ろを I にするか me にするかが気になる場合は、than I と than me の違いも同じ「後ろを節として見るか」という見方で読めます。
省略を戻す作業は、正解を堅苦しくするためではありません。as quickly as she can を見て「なぜ can の後ろに動詞がないのだろう」と迷ったら、as quickly as she can run のように補ってみます。すでに quickly があるので run を繰り返さないだけだ、と分かれば、文を前から読み進められます。後ろ側を丸ごと暗記せず、前半と同じ内容が省かれていないかを一度たずねる習慣が役に立ちます。
日本語は一続き、英語は形容詞の両側に分ける
後半を補って比較の骨組みが見えたところで、日本語話者が語順で迷いやすい理由にも戻ります。
「私は彼と同じくらい背が高い」と言うとき、日本語では基準の「彼と」と程度の「同じくらい」が近くに置かれます。どちらがどこを担当するかを、語順で強く分ける必要はありません。
英語では、比べたい性質を真ん中に置き、左右から挟みます。先に程度を用意し、性質を言い、最後に基準を置く。この並びに慣れると、as … as の順番は暗記項目ではなくなります。

たとえば「私は弟と同じくらい速く走れる」は、I can run as fast as my brother. です。日本語の順番のまま I can run my brother as fast. と置くのではなく、fast を二つの as で挟みます。
not as … as は「同じ目盛りに届かない」と言う
二つの as の仕事が分かると、否定も自然に読めます。This book is not as difficult as that one. は、「この本はあの本ほど難しくない」です。
一つ目の as で difficult の目盛りを置き、二つ目の as で that one を基準にします。not は、その基準まで届かないと述べています。「比較級より弱い表現」とだけ覚えるより、同じ高さに合わせようとして届かないと考えると文の形と意味がつながります。

倍数を前に置いても、二つの as の役割は変わらない
twice as large as は「〜の二倍の大きさ」、three times as expensive as は「〜の三倍の値段」です。twice や three times が、一つ目の as の前で程度の大きさを指定します。それでも、二つ目の as が基準を連れてくる仕事は変わりません。
- 真ん中に、何の程度を比べるのかを置く。
tall / fast / carefully / expensive - 最初の as は、程度の目盛りを用意する。
- 二つ目の as のあとに、比較の基準を置く。
as I am / as my brother / as possible
not、twice、three times が加わっても、この三つに分ければ骨組みは見失いません。比較する性質が長さから値段、速さ、難しさへ変わっても、真ん中に置く語と、後ろで合わせる基準を順に探せばよいからです。
as as 比較は、二つの as を別々に読めば語順がほどける
as tall as で as を二回使うのは、同じ語を癖で反復しているからではありません。一つ目の as が「程度」を、二つ目の as が「基準」を置くためです。
He is as tall as I am. の後ろが短いのは、I am tall の tall が消えた形です。省略を一度戻せば、二人が何について比べられているかも、I がなぜ基準になるかも見えてきます。
- as … as の二つの as は、程度と基準を分担している。
- as の間には、比べたい形容詞・副詞の原級が入る。
- 後半の as I am は、as I am tall のように同じ語が省かれた形として読める。
- not as … as や twice as … as も、程度と基準の骨組みは同じ。
比較級の than が「差の相手」を置くのに対し、as … as は「同じ目盛り」とその基準を置きます。最上級で the がなぜ必要になるのかも、比較の基準をどう定めるかとつながる話です。
関連して読みたい記事
比較表現は、形だけを増やすより、何を基準に比べているのかをつかむと覚えやすくなります。
- than I と than me の違い:than の後ろに節が省略されているのか、目的格を置くのかを考えます。
- 最上級に the が付く理由:the tallest の the が、どの範囲で一番なのかを定める仕組みを解説しています。
FAQ:as … as の原級比較でよくある疑問
ここでは、本文の骨組みを踏まえても残りやすい疑問だけを短く補います。どの答えも、程度を置く前半と基準を置く後半に分けて読むと判断しやすくなります。
as … as の間には形容詞しか入れられませんか?
副詞も入れられます。She sings as beautifully as her sister. の beautifully は歌い方の程度を比べています。名詞を比べるときは as much as や as many as のように、量や数を比べる形になります。
as tall as I と as tall as me は、どちらが正しいですか?
会話では as tall as me も普通に使われます。学校英語や文章で迷ったときは、He is as tall as I am. のように後ろを節として言い切る形が安全です。
as … as は必ず「同じくらい」と訳しますか?
基本は同程度の比較ですが、not as … as なら「〜ほど…でない」、as soon as possible なら「できるだけ早く」のように、日本語では自然な言い方に変わります。訳語を固定するより、程度と基準を見つけるほうが意味を取り違えません。
as tall as の前に very を置けますか?
通常は very as tall as とは言いません。比較の程度を強めたいなら、almost as tall as(ほとんど同じくらい高い)、twice as tall as(二倍の高さ)など、as の前に比較全体にかかる語を置きます。tall 自体を強めるのではなく、基準との距離をどう言うかが焦点になるためです。
ただし very は He is very tall. のように、比較をせず背の高さそのものを強めるときには使えます。as … as がある文では、二人の間の目盛りをどう調整するかに注目しましょう。
語順だけでなく、この違いまで意識すると表現の選択に迷いにくくなります。


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