この記事では、助動詞 will と be going to について扱います。
will と be going to は、両方とも『意志』と『未来』の用法は持ち合わせています。
しかし、厳密には意味の違いが指摘されることが多いです。
今回は、そんな 『willとbe going toの意味の違い』をお話していきたいと思います。
前置き
今回の記事は、『助動詞シリーズ will』の第2弾になります。
第1弾では、will のあらゆる用法とそこに共通するコアイメージを見ています。
もしかすると先に第1弾の記事をご覧頂いた方が、今回の第2弾の記事の理解が深まるかもしれません。
◆第1弾の記事:【助動詞】法助動詞willの用法とコアイメージ
結論:will と be going to の違い
will と be going to は、両方とも『意志』と『未来』の用法は持ち合わせています。
そこで、今回は『意志』と『未来』のそれぞれにおける意味の違いや用法/使い方の違いをお話していきたいと思います。
結論としては、『willとbe going toの意味の違い』は、それぞれ次のように示されます。
→ will は即断即決である
→ be going to は即断即決ではない
→ will は未だ成立していない
→ be going to は既に成立している
『意志』における意味の違い
この「即断即決であるかどうか」は、『意志』の用法を区別するための基準です。
基準としては、
- 即断即決である場合 → will
- 即断即決でない場合 → be going to
が使用されます。
will が使われる場合
あ!そうだ、明日 彼女にプロポーズしよう!
be going to が使われる場合
指輪も買ったし、レストランも予約したし、明日 彼女にプロポーズするぞ!
be going to の方が『確定的で変更の可能性がない未来を表す』と言われるのは、このためです。日本語における「明日、プロポーズするつもりでいる」のような表現と似ているかもしれません。
be going to ~ の意味をより深く理解するために、有益なアイデアを1つご紹介します。be going to ~ の意味は、have already decided to ~ 「既に~することにしている」に近いと言われています。〈現在完了相〉が「その意志が現在に至るまでの状況を結びついている」という be going to の性質を上手く言い表しています。
もう少し理解を深めるために
以上が『will と be going to の意味の違い』ですが、以下の2点を補足説明をしておきます。
① will のみが使用可能な場合
② 疑問文で用いられた場合の意味の違い
① 帰結節では will のみが使用可能
If節(条件節)を受ける主節(帰結節)では、will のみが使用可能です。
このような例文では、帰結節で be going to を用いることはできません。
なぜなら、帰結節の内容は、条件節の内容が起こって初めて成立することだからです。
つまり今回の例文においては、手伝うようにお願いされてからそのつもりになることを、お願いされる前からそのつもりになることはできないからということです。
プラスα
will のみが使用可能なケースをもう1つ挙げておきます。以下は、AとBの会話です。
B: “I will
A:「時計を忘れてきてしまった」
B:「僕が取ってくるよ」
Aの「時計を忘れた」という発言を聞いた後に、Bが「取りに行く」という決断をした(=即断即決)ので、will だけが使用可能になります。
② 疑問文における意味の違い
will と be going to が疑問文で用いられると、それぞれ次のような意味になります。
「パーティーに行く意志はありますか?」
→「パーティーへ行きませんか」『勧誘』
「パーティーに行く予定ですか?」
→ 純粋な『質問』
『未来』における意味の違い
この条件は、『未来』の用法を区別するための基準です。
基準としては、未来の出来事が起こるための条件(原因)が、
- 既に生じていない場合 → will
- 既に生じている場合 → be going to
が使用されます。
will が使われる場合
機械の宿命なのだから、いつの日かこのコンピューターは故障するだろう
[c.f] Accidents will happen.「事故は起こるものだ」(傾向・習性)
be going to が使われる場合
変な音が鳴ってるし、熱も発しているから、このコンピュータは故障しそうだ
もう少し理解を深めるために
will と be going to の『未来』の用法の区別を更に明確にするために、もう1組例外をご紹介します。
「彼は回復するだろう]
↑人間の治癒力などの常識的な判断
「彼は回復するだろう」
↑医者の治療や薬を受けている
will と be going to の違い【まとめ】
‣即断即決であるかどうか
→ will は即断即決である
→ be going to は即断即決ではない
‣未来の出来事が起こるための条件が既に成立しているかどうか
→ will は未だ成立していない
→ be going to は既に成立している
関連記事
be going to の詳細については、それに特化した記事を作成する予定です。もうしばらくお待ちください。
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be going to の記事作成中
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本編の内容は以上で終了
本編の『will と be going to の意味の違い』については以上で終了になります。ここまでご覧いただきありがとうございました。
ここから先は、will とあるもう1つのものを比較したいと思います。それはずばり、will be ~ing、つまり〈未来進行形〉です。
もし『will と will be ~ing の意味の違い』にも興味がある方は、このまま記事をご覧いただけると嬉しいです。
【助動詞】法助動詞willの用法とコアイメージ
will と will be ~ing の違い
- will V(動詞の原形)
- will be Ving(現在分詞)
この2つは、どちらも『未来を表す』という点は共通ですが、その両者の『意味の違い』を考えてみたいと思います。
分析に使う例文は以下の通りです。
② Will you be coming to the party ?
例文①の場合
この場合だと、①の質問が問題にしているのは、『相手がそのパーティーに行く意志があるかどうか、行きたいかどうか』ということであり、語用論的用法に当たる『勧誘』の意味に近くなります。
したがって、この質問に対する返答は、
- “I’d like to” 「ぜひ行きたいです」
- “I’m afraid I can’t”「ごめんなさい、行けません」
例文②の場合
一方で、例文②の場合では、質問の意図は、『パーティーに参加することになっているのかどうか』という事実確認です。日本語の「パーティー行くんだっけ?」に似たようなニュアンスになります。
ここには「行きたいかどうか」という願望の有無や勧誘の意味はありません。
したがって、この質問に対する返答としては、
- Yes, I think I will. 「うん、行くよ」
- I would rather stay at home.「家にいることにしたんだ」
もう1つの意味の違い
will単体と未来進行形(will be Ving)のもう1つの違いとして、〈丁寧さ〉が挙げられる場合があります。
ご存知のとおり、未来進行形の方が〈丁寧さ〉が増すと言われています。
この現象を次の2つの例文で考えてみましょう。
例文①における丁寧さ
この言い方は、相手に対して『お金を返す意志があるのか?』という非常にぶっきらぼうな響きを持っています。
例文②における丁寧さ
それに対して、例文②では、『いつお金返してくれる予定になってる?』のようにとても柔らかで丁寧な響きが込められています。
この理由は次のように考えられます。
〈進行形〉を使うと〈丁寧さ〉が増す背景には、このような理屈があったのです。
以上が、will と will be Ving の2つの『意味の違い』でした。
関連記事のご紹介
〈未来表現〉や〈進行形〉の話が出てきましたが、『そもそもなぜ現在形であるはずの現在進行形が未来を表現できるのか?』と疑問に感じたことはないでしょうか?
『現在進行形が未来を表せる理由』に関してはこちらの記事が参考になるかと思います↓
【進行形】進行形が未来を表せる理由とは?
当ブログはそれぞれの記事が縦横無尽にリンクしています。
ぜひ色んな記事を読んでより深い英文法のネットワークを構築していただければ幸いです。
全体のまとめ
今回の記事では、助動詞 will と、その類似関係にある be going to や will be ~ing(未来進行形)との意味の違いや用法の区別を見てきました。
ポイントをまとめます。
will と be going to の違い
‣即断即決であるかどうか
→ will は即断即決である
→ be going to は即断即決ではない
‣未来の出来事が起こるための条件が既に成立しているかどうか
→ will は未だ成立していない
→ be going to は既に成立している
will と will be ~ing(未来進行形)の違い
どちらも疑問文における意味の違いになります。
‣will は『勧誘』に近い意味
‣will be ~ing は「事実確認」に近い意味
‣will よりも will be ~ing の方が丁寧な表現になる
完全なる説明のを難しさ
関連コンテンツの再掲載
今回の記事の途中で紹介した関連記事を最後にまとめて掲載しておきます。
①助動詞シリーズ第1弾
➤➤【助動詞】法助動詞willの用法とコアイメージ
②進行形が未来を表せる理由
➤➤【進行形】進行形が未来を表せる理由とは?
参考文献
- Longman Dictionary of the English Language (1985) Longman.
- Chalker, Sylvia (1984) Current English Grammar, Macmillan.
- 井上永幸 他 (2010)『ウィズダム英和辞典』三省堂
- 大西泰斗、ポール・マクベイ (2017)『総合英語 FACTBOOK これからの英文法』桐原書店
- 安井稔 (1983)『改訂版 英文法総覧』開拓社
- 吉波和彦 他 (2011)『ブレイクスルー総合英語(改訂二版)』美誠社
- 中野清治 (2014)『英語の法助動詞』開拓社
- 佐藤芳明 他 (2009) 『レキシカル・グラマーへの招待 -新しい教育英文法の可能性』開拓社
また次の記事でお会いしましょう。
コメント
管理人様、初めまして。
英語教育に関する仕事をしている者です。
コメントは初めてですが、実は、
初めてこちらのサイトを発見したときからお気に入り登録しております…
自分も英語が大好きでして、
管理人様のように、コアイメージを理解したり、
細かい所まで突き詰めて検証する系の
マニアックな学習が好きでして、
これからもお世話になると思います。
いつもありがとうございます(>_<) &ご苦労様です!
これからもよろしくお願いします!