- 英検の形式が変わったと聞いたけど、何がどう変わったの?
- 結局どの級を受ければいいのか決められない…
- 4技能のうち、何から手を付けるのが正解?
- 昔の対策法のままで大丈夫なのか不安…
英検について調べ始めると、必ず「2024年からリニューアルされた」という情報にぶつかります。そして多くのページは、変わった点を箇条書きで並べたところで終わっています。
知りたいのはその先のはずです。変わったのなら、対策の順番はどう変えればいいのか。そこに答えていない情報は、読んでも動けません。
先に結論から言います。変わったのは「技能ごとの重さ」です。ライティングは2題になって負荷が上がり、リーディングは複数の級で設問が減りました。筆記時間が延びたのは準2級と3級で、1級・準1級・2級は変更されていません。リスニングは変更されず、スピーキングは準1級の質問1つに話題導入文が加わりました。この偏りを知っているかどうかで、限られた準備期間の使い方が変わります。
筆者は英検1級を保持し、日本最大級の英語サービスの運営に携わりながら、資格試験の対策情報を追ってきました。この記事では、日本英語検定協会が公表している情報をもとに全体像を整理します。級ごとの細かい対策ではなく、まず「どこから手を付けるか」を決めるための地図として使ってください。

英検って、そんなに大きく変わったんですか?昔受けたときと同じ感覚で準備してました…

技能によるんだ。まったく変わっていない技能もあれば、問題が1つ増えた技能もある。まずどこが重くなったかを知るのが先だよ。

変わっていない技能があるなら、そこは後回しでいいってことですか?

逆なんだ。変わっていない技能ほど、準備した人としない人の差がそのまま出る。そこも含めて順番を決めていこう!
- 2024〜2025年に英検で変わった3つのこと
- 技能ごとに「変わった量」が違うという事実と、その意味
- 級はレベルではなく期限で選ぶという考え方
- 改定後に効く対策の順序と、技能別の入口
- 結論:英検は2024年から別物になった。変わったのは技能ごとの重さ
- 何が変わったのか——3つの変更を1枚で把握する
- ライティングが2題になった意味は「別の力を2つ測る」ということ
- リーディングは易しくなっていない。設問が減っても詰まる理由
- リスニングの大枠は変わっていない。だから準備の差がつく
- 準2級プラスは「受けるべき人」が限られる
- 英検を取る意味は、級によって変わる
- 級はレベルではなく期限で選ぶ
- 技能のバランスが崩れると、合計点では届かない
- 従来型とS-CBTのどちらを選ぶかで、準備の形が変わる
- 改定後の対策は、この順で進める
- 入口は、今つまずいている感覚から選べばいい
- 改定後によくある誤解が5つある
- 英検の全体像に関するよくある質問
- まとめ:変更点を覚えるより、順番を決める
結論:英検は2024年から別物になった。変わったのは技能ごとの重さ
最初に全体像を示します。英検の改定は「全体が難しくなった」という話ではありません。技能によって影響がまったく違います。
- ライティングが最も重くなった:1題から2題へ。しかも2題は別の力を測っています
- リーディングは複数の級で設問が減った:ただし、追加された作文へ時間を配る必要があります
- リスニングは変更なし、スピーキングは準1級のみ一部変更:大枠が同じ技能も準備の差が出ます
多くの解説記事は「変更点の一覧」で終わっています。しかし読者が本当に困るのは、その変更を受けて、限られた時間をどう配分し直すかです。変更点を暗記しても得点は動きません。
この記事では、変更の事実を確認したうえで、「だから何から始めるか」まで踏み込みます。そのために、まず技能ごとの影響の大きさを見える形にします。
この記事で使う視点
以降は次の順で見ていきます。級の難易度を並べるのではなく、判断に必要な順に並べました。
- 何が変わったのか(事実の確認)
- 技能ごとに影響がどう違うか(重さの偏り)
- どの級を受けるか(レベルではなく期限で決める)
- 何から手を付けるか(対策の順序)
何が変わったのか——3つの変更を1枚で把握する
まず事実を確認します。2024年度と2025年度に、大きく分けて3つの変更がありました。ここを押さえておかないと、古い情報で対策を組むことになります。
1ライティングが1題から2題になった
最も影響が大きい変更です。3級以上でライティングの問題数が増え、従来の意見論述に加えて、もう1題が追加されました。
追加された問題は級によって異なります。1級・準1級・2級には要約問題、準2級・3級にはEメール問題が加わったと案内されています。
2設問削減と筆記時間の延長は、級ごとに分けて見る
日本英語検定協会の2024年度リニューアル案内では、リーディングは1級が41問から35問、準1級が41問から31問、2級が38問から31問、準2級が37問から29問へ減りました。3級のリーディングは変更なしです。
筆記時間が延びたのは準2級の75分から80分、3級の50分から65分です。1級100分・準1級90分・2級85分は変更されていません。設問削減と時間延長を、すべての級に共通する変更として扱わないことが大切です。
3準2級プラスという級が新設された
2025年度からは、準2級と2級の間に準2級プラスという級が加わりました。英検にとって31年ぶりの新設級とされています。
準2級と2級の間には実力差が大きく、準2級に受かってから2級に届くまで時間がかかるという課題がありました。その間を埋める目標として設けられた級です。

ライティングが2題になった意味は「別の力を2つ測る」ということ
問題数が1つ増えた、という理解では対策を誤ります。追加された1題は、従来の1題とは作業の向きが逆だからです。
要約と意見論述は、逆方向の作業
意見論述は情報を増やす作業です。1つの立場を決めて、理由を足し、具体例を足して、指定語数まで広げていきます。
要約は情報を減らす作業です。元の文章にある内容から、中心となる主張と根拠だけを残し、それ以外を落としていきます。
- 意見論述:1点から広げる。足りなければ理由を足す
- 要約:全体から絞る。足すと減点に近づく
同じ「書く」でも、頭の使い方が正反対です。意見論述の練習を何本積んでも、要約が書けるようにはなりません。ここを分けずに「ライティング対策」とひとくくりにすると、片方だけ伸びて片方が止まります。
Eメール問題は「英作文」ではなく「返信」
準2級・3級に追加されたEメール問題も、自由英作文とは性質が違います。相手から届いたメールに返信するという設定なので、相手が何を聞いているかを取りこぼすと内容点が落ちます。
英文としての正しさより先に、質問に答えているかどうかが問われます。ここを理解していないと、きれいな英文を書いたのに点が伸びない、という状態が起こります。
どちらが出るかは級で決まっている
自分が受ける級で何が出るかは、先に確認しておくべき情報です。要約が出る級とEメールが出る級は分かれています。
| 級 | 1題目 | 2題目 |
|---|---|---|
| 1級・準1級・2級 | 意見論述 | 要約 |
| 準2級・3級 | 意見論述 | Eメール |
出る問題が違えば、練習する内容も変わります。級を決めてから対策を始めるべき理由の1つがこれです。ライティングの具体的な進め方は英検ライティングの2題をどう書き分けるかで扱っています。

リーディングは易しくなっていない。設問が減っても詰まる理由
設問が減ったのだから楽になったはずだ、と考えると足をすくわれます。筆記時間はリーディングだけでなく、追加されたライティングにも配る時間だからです。
減った設問ぶんを、自由な読解時間として使えるわけではない
1級・準1級・2級は筆記時間が変わらないまま、ライティングが1題増えました。準2級と3級は筆記時間が延びましたが、こちらもEメール問題の追加分を含みます。設問数だけを見て、長文に使える時間が増えたと決めないでください。
公式が明示しているのは、設問の削減である
公式案内が示しているのは、語句空所補充や長文内容一致などの設問削減です。「長文が大幅に短くなった」と案内されているわけではありません。
問題数の減少だけを理由に読解対策を薄くするのは危険です。どの設問が削られ、どの形式が残ったかを級別に確認してください。
本当の原因は、語彙と設問タイプの見分け
時間が足りない人の詰まり方は、だいたい次の3つに分かれます。
- 知らない語で止まる:語彙の穴。何度も立ち止まって時間を失います
- 設問タイプを見分けていない:どこへ戻ればいいか分からず本文を往復します
- 読み直しの回数が多い:往復そのものが時間を食います
どれも「速く読む練習」では解けません。語彙は語彙で埋め、設問タイプは判別の練習で身につけます。詳しい切り分け方は英検の長文が読めない原因の見分け方で解説しています。

リスニングの大枠は変わっていない。だから準備の差がつく
改定の話題が読解と作文に集中しているぶん、この2技能は影が薄くなっています。しかしこれは受験者にとってはむしろ好機です。
変わっていないということは、対策が古びないということ
形式が変わった技能は、追加問題に合わせた対策が必要です。一方、リスニングは変更なしで、スピーキングも準1級の質問No.4に話題導入文が加わった点を除けば大枠は維持されました。
一方で形式が変わっていない技能は、これまで蓄積された対策がそのまま通用します。やるべきことが明確で、やった分だけ結果に反映されやすい領域です。
周りの注意が逸れている今が、差をつけやすい
改定があると、受験者も指導者も変わった部分に意識を取られます。ライティングの新形式にどう対応するかが話題の中心になり、リスニングの対策は後回しになりがちです。
配点は変わっていないのに、投じられる時間だけが減る。これは、そこに時間を投じた人が相対的に有利になるということです。
リスニングは1回しか流れないという前提を忘れない
英検のリスニングで見落とされやすいのが、音声が1回しか流れないという点です。聞き逃しても戻れません。
この前提に慣れていないと、1問つまずいた動揺が次の問題まで尾を引きます。対処は「耳を鍛える」ではなく、音声が流れる前に処理を終わらせておくことです。手順は英検リスニングが聞き取れない原因で扱います。
二次面接で落ちるのは、英語力ではないことが多い
スピーキングは準1級の質問No.4に話題導入文が加わりましたが、その他の級は変更なしと案内されています。二次で不合格になる人は、知識だけでなく、答えられなかったときに黙ってしまうことも課題になります。
英検の面接では、コミュニケーションを取ろうとする姿勢も評価対象です。黙っている間は、その姿勢を伝えるものが何もありません。英検二次で落ちる原因と沈黙の防ぎ方で詳しく整理しています。

準2級プラスは「受けるべき人」が限られる
新設級というだけで気になりますが、全員が受けるべき級ではありません。判断の基準を整理します。
位置づけは準2級と2級の間、ライティングは要約を含む
準2級プラスは、準2級と2級の橋渡しとして2025年度に導入されました。公式の目安は高校上級程度で、ライティングには2級と同じく英文要約が含まれます。
ただし、すべての出題形式が2級と同じという意味ではありません。準2級プラス固有の試験内容を公式の過去問と試験内容ページで確認するのが確実です。
受ける価値があるのは、2級まで時間がかかる場合
準2級プラスが設けられた背景は、準2級から2級までの距離が遠いという課題です。この間に目標がないと、学習が止まりやすくなります。
- 準2級に受かってから、2級まで1年以上かかりそうな人:途中に目標を置くと続きます
- 2級を受けたが不合格だった人:手前の級で形式に慣れる場として使えます
- 学習の継続そのものに不安がある人:達成の間隔が空くと止まりやすいためです
逆に、飛ばしてよい人
すでに2級が射程に入っている人にとっては、1回分の受験料と準備期間を使うだけの級になります。
判断基準は単純です。2級の過去問を解いてみて、合格ラインが見えているなら飛ばす。まったく歯が立たないなら、間に1つ置く価値があります。

英検を取る意味は、級によって変わる
そもそも何のために受けるのか。ここが曖昧なまま級を選ぶと、途中で目的を見失います。級によって「取れることの意味」は大きく違います。
3級・準2級——学習の進み具合を測る目安
この帯は、英語学習が形になってきたことを確認する段階です。中学から高校前半の内容が身についているかを外部の基準で測れます。
学校の定期テストとの違いは、範囲が指定されていないことです。出るところを絞って覚える勉強では届かないので、この段階で「積み上げる学習」へ切り替える必要があります。
外部評価としての影響力は限定的ですが、「合格した」という区切りが学習の継続に効きます。特に独学では、達成の実感が途切れると止まりやすいので、この効果は軽視できません。
2級——外部評価として使い始められるライン
2級から性格が変わります。高校卒業程度とされ、入試や採用の場面で参照されることが増える帯です。
準2級プラスが新設されたのも、この2級までの距離を埋めるためでした。2級は「取れると実利が出始める最初の級」と考えると、投じる時間の判断がしやすくなります。
準1級・1級——専門性の証明として機能する
準1級以上は、英語力そのものを専門性として示せる帯です。求められる語彙量も抽象度も一段上がり、対策の質が変わります。
この帯を目指すなら、単語帳を回すだけでは届きません。論説文を読み、意見を組み立て、それを話すという、実際の使用に近い訓練が必要になります。
目的が決まると、捨てるものが決まる
目的を先に決めておく実利は、やらなくていいことが決まる点にあります。
学習の指標として使うなら、満点を狙う必要はありません。合格ラインに届けば目的は果たせます。逆に外部評価として使うなら、期限までに確実に取ることが最優先になり、級を下げる判断も選択肢に入ります。
級はレベルではなく期限で選ぶ
「今の実力に合った級」で選ぶ人が多いのですが、それでは決まりません。実力は連続的で、級は離散的だからです。
提出の期限があるかどうかが最初の分岐
入試や就職で提出する予定があるなら、期限までに確実に取れる級を選ぶのが正解です。1つ上を狙って落ちると、次の検定まで数か月待つことになります。
期限がないなら話は逆です。今の実力の1つ上を狙って、届かなければ次に取り直せばいい。期限の有無で、リスクの取り方が180度変わります。
使える準備期間は、思っているより短い
試験日までの日数をそのまま準備期間だと考えると、計画が崩れます。実際には次の分を差し引く必要があります。
- 出願の締切まで:申し込みを忘れると、そもそも受けられません
- 直前1週間:新しいことを詰め込む時期ではなく、確認に使う時期です
- 一次と二次の間:二次対策はここから始まります。一次の準備期間には含めません
級ごとの目安を知っておく
級の選択には、必要な語彙量の目安も参考になります。準2級で2,600〜3,600語程度、2級で3,800〜5,100語程度、準1級で7,500〜9,000語程度という数字が紹介されています。
これらは二次情報にもとづく目安であり、公式が保証する数値ではありません。自分の既知語との差分がどれくらいあるかを測る目安として使ってください。語彙の考え方は英検の単語はどこまで覚えれば足りるかで詳しく扱います。

技能のバランスが崩れると、合計点では届かない
もう1つ、対策の順番を決めるうえで欠かせない前提があります。英検の採点の仕組みです。ここを知らないと、得意技能ばかり伸ばして落ちるという事態が起こります。
CSEスコアは技能ごとに均等配分されている
英検の成績は英検CSEスコアという指標で示されます。重要なのは、このスコアが技能ごとに均等に配分されているという点です。
つまりリーディングもリスニングもライティングも、スコアの上限は同じです。「配点が大きいリーディングを優先する」という発想は、英検では成立しません。
1技能だけ極端に低いと、他で補いにくい
均等配分の帰結は明確です。ある技能が極端に低いと、他の技能で満点近くを取っても合計が届きにくくなります。
得意技能をさらに伸ばすより、最も低い技能を平均まで引き上げるほうが、合計スコアは大きく動きます。これは一般的な試験対策の原則とも一致しますが、均等配分の英検では特に効きます。
- 最も低い技能を平均まで:伸びしろが最も大きい
- 平均の技能を少しずつ:安定して積み上がる
- 得意技能をさらに上へ:上限に近いほど伸びが鈍る
一次と二次は別々に基準を超える必要がある
もう1点、見落とされやすい仕組みがあります。一次試験と二次試験は、それぞれ独立して基準を超える必要があると案内されています。
一次を高得点で通過しても、その貯金を二次に持ち込めるわけではありません。二次面接は二次面接として、単独で基準を超える必要があります。「一次が良かったから二次は多少崩れても大丈夫」という考え方は成り立ちません。
だから、弱点の特定が先に来る
以上を踏まえると、対策の入口は「今どの技能が最も低いか」を知ることになります。
模試や過去問を1回解けば、技能ごとの粗い傾向は見えます。測らずに始めると、得意な技能ばかり練習して満足してしまうという典型的な失敗に陥ります。
従来型とS-CBTのどちらを選ぶかで、準備の形が変わる
英検には受験方式が複数あります。どちらを選ぶかで、準備のスケジュールと当日の負荷が変わります。
採点基準は同じ。違うのは日程と形式
まず安心してよい点から。S-CBTと従来型で、評価基準・合否判定・CSEスコアの算出方法は共通と案内されています。どちらで受けても取得できる級の価値は同じです。
違うのは実施の形です。従来型は一次試験と二次試験が別日程、S-CBTは4技能を1日で受験します。
1日完結が有利に働く人
S-CBTの1日完結は、次のような人に向きます。
- 二次まで緊張を持続させたくない人:一次の合否を待つ期間がありません
- 受験機会を増やしたい人:実施回数が多く、日程の選択肢が広がります
- 面接の対面が苦手な人:スピーキングは吹き込み形式で行われます
従来型が有利に働く人
一方で、従来型のほうが噛み合う場合もあります。
一次を通過してから二次対策を始めたい人には従来型が向きます。日程が分かれているぶん、一次に集中してから面接の準備に切り替えられます。
また人を相手に話すほうが実力を出せる人もいます。画面に向かって吹き込む形式が苦手なら、対面の面接が残る従来型のほうが自然です。
選び方は「準備期間の使い方」で決める
どちらが優れているという話ではありません。準備期間をどう配分したいかで決まります。
4技能を並行して仕上げられるならS-CBT、一次を固めてから面接へ移りたいなら従来型。自分の学習スタイルに合うほうを選べば、同じ努力でも結果が変わります。
改定後の対策は、この順で進める
ここまでの内容を、着手の順序に落とし込みます。順番を間違えると、後の工程が効かなくなるのが英語学習の厄介なところです。
1語彙——級の到達ラインまで
最初に語彙です。理由は単純で、語彙が薄いと他のすべての技能が止まるからです。
読解では知らない語で止まり、リスニングでは知らない語が音として認識できず、ライティングでは言いたいことを英語にできません。語彙は独立した技能ではなく、他の技能の土台です。
ただし全部覚える必要はありません。級ごとに到達ラインがあり、そこまで届けば語彙で落ちることはなくなります。
2読解——設問タイプの見分け
語彙が一定量たまったら読解に移ります。ここでやるのは速読の訓練ではなく、設問タイプごとに戻る場所を変える練習です。
語彙が薄い段階で長文を増やしても、知らない語で止まるだけで読解力は伸びません。順番が語彙→読解なのは、この依存関係があるからです。
3作文——要約とEメールを分けて
3番目が作文です。ここで重要なのは、2題を別々のものとして練習すること。
要約は読解力に依存するので、読解の後に置くのが自然です。元の文章を正確に読めていなければ、要約のしようがありません。読解を飛ばして要約対策から始めると、遠回りになります。
4面接——形式の再現
最後が二次面接です。一次の合格発表を待ってから始めても、日程上は間に合うことが多い工程です。
ただし「話す」こと自体に慣れていない場合は、一次の準備と並行して少しずつ声を出しておくほうが安全です。形式の練習と、口を動かす練習は別物だからです。
この順序で進めたときの1か月の目安
順序が決まっても、期間の感覚がないと計画になりません。あくまで目安ですが、1か月で回す場合の配分を示します。
4週目に「最も低い技能へ戻る」を入れているのが要点です。均等配分のCSEスコアでは、ここで一番点が動きます。
期間が足りないときは、順序を守ったまま量を減らす
1か月も取れない場合、順序を飛ばすのではなく各工程の量を削ります。語彙を1周ではなく頻出だけに絞る、読解を全大問ではなく1つに絞る、という形です。
順序を飛ばして作文から始めると、語彙が薄いまま書くことになり、書いた英文の直しどころが多すぎて改善点が絞れません。短期でも順序は守るほうが結果的に速くなります。

入口は、今つまずいている感覚から選べばいい
ここからは技能別の解説へ進みます。全部を順に読む必要はありません。今つまずいている感覚に近いものから入ってください。
感じている症状で選ぶ
次の表で、自分の状態に近いものを探してみてください。
| こう感じている | 入口 |
|---|---|
| 知らない語で何度も止まる | 語彙 |
| 長文が最後まで終わらない | 読解 |
| 1回で聞き取れない | 聴解 |
| 何を書けばいいか決まらない | 作文 |
| 面接で黙ってしまう | 面接 |
迷ったら語彙から
症状がはっきりしない場合は、語彙から始めるのが最も外れにくい選択です。他の技能の土台であり、やった分が確実に他へ波及します。
「読解が苦手」と感じている人の相当数は、実は語彙で止まっています。読めなかった原因を速読力のせいにして長文を増やすと、同じところで止まり続けます。まず語彙を測ってから、その先を判断してください。
症状が複数当てはまる場合
複数に心当たりがあるのは自然なことです。その場合は対策の順序に従って、上流から手を付けてください。
語彙と読解の両方が気になるなら語彙から。読解と作文の両方なら読解から。下流の技能は上流に依存しているので、上流を直すと下流も自動的に改善することがあります。
1つの記事だけ読んで終わりにしない
技能別の記事はそれぞれ独立していますが、相互にリンクしています。読み進めるうちに「原因はこちらだった」と分かることがあります。
たとえば読解の記事を読んで語彙が原因だと気づいたら、そのまま語彙の記事へ移ってください。診断は1回で終わるものではなく、進めながら精度が上がります。
アプリで進めたい場合
紙の教材ではなくアプリで進めたい場合は、英検アプリの選び方もあわせてご覧ください。ただし道具を選ぶ前に、どの技能から始めるかを決めておくほうが選択は楽になります。

改定後によくある誤解が5つある
情報が更新される途中の時期は、古い前提と新しい前提が混ざりやすくなります。特によく見かける誤解を挙げておきます。
1「全体的に難しくなった」
正確ではありません。技能と級によって影響が違います。ライティングは負荷が上がり、リーディングは複数の級で設問が減りました。筆記時間が延びたのは準2級と3級です。リスニングは変更されず、スピーキングは準1級の質問1つに話題導入文が加わりました。
「全体が難しくなった」と捉えると、どこに時間を配分すべきかの判断ができなくなります。
2「リーディングは楽になった」
これも正確ではありません。設問は減りましたが、追加されたライティングへ時間を配る必要があります。問題数だけを見て、読解に使える時間が増えたとは判断できません。
3「要約は意見論述の応用」
前述のとおり、作業の向きが逆です。意見論述の練習を積んでも要約は書けるようになりません。むしろ意見論述の癖が出ると、要約に自分の考えを足してしまい減点に近づきます。
4「新形式だから、対策法も全部新しくなる」
これも行き過ぎです。追加された問題への対応は新しく学ぶ必要がありますが、語彙を増やす、構造を取る、時間内に処理する——という土台の作り方は変わっていません。
新形式という言葉に反応して、基礎の積み上げを飛ばして新問題の対策から入る。これが改定初期に最も起こりやすい失敗です。
5「古い過去問は使えない」
すべてが使えないわけではありません。変更されていないリスニングや、残っているリーディング形式は、改定前の教材でも練習になります。スピーキングは準1級の質問No.4に話題導入文が加わったため、その点だけ現行形式を確認してください。
使えないのは追加された問題の部分だけです。手元に古い教材があるなら、どこが使えてどこが使えないかを切り分けてから捨ててください。
英検の全体像に関するよくある質問
ここまでの内容で残りやすい疑問をまとめました。数値や条件は変更されることがあるため、判断の前には公式ページをご確認ください。
いつから新しい形式になったのですか?
3級以上のリニューアルは2024年度の第1回検定から、準2級プラスの導入は2025年度の第1回検定からと案内されています。受験する回がどの形式に該当するかは、公式の案内で確認してください。
4級・5級も変わりましたか?
今回のリニューアルの対象は3級以上と案内されています。4級・5級については変更の対象外とされていますが、受験前に公式で確認するのが確実です。
どの技能から始めるのが正解ですか?
語彙から始めるのが最も外れにくい選択です。他の技能の土台になるため、やった分が波及します。症状がはっきりしている場合は、その技能から入っても構いません。
準2級プラスは受けたほうがいいですか?
2級の過去問を解いて合格ラインが見えているなら飛ばして構いません。まったく歯が立たず、2級まで時間がかかりそうなら、間に置く価値があります。
要約問題は何級から出ますか?
1級・準1級・2級で出題されると案内されています。準2級・3級はEメール問題です。自分の級で何が出るかは、対策を始める前に必ず確認してください。
リスニングは対策しなくていいのですか?
逆です。形式が変わっていないからこそ、準備の差がそのまま出ます。改定の話題に気を取られて手を付けないまま本番を迎えるのが、最も避けたい状態です。
試験時間はどれくらい延びましたか?
2024年度リニューアルで筆記時間が延びたのは、準2級の75分から80分と、3級の50分から65分です。1級100分・準1級90分・2級85分は変更されていません。受験時点の時間は級別の公式案内をご確認ください。
独学でも合格できますか?
技能によります。語彙・読解・聴解は独学で十分に対策できます。作文と面接は、書いたものや話したものを外から見てもらう工程が必要になるため、何らかの形で他者の目を確保することを検討してください。
級を1つ下げるのは負けですか?
そうは考えません。提出の期限があるなら、確実に取れる級を先に押さえるほうが合理的です。上の級は期限がなくなってから狙えば済みます。
過去問はいつから解けばいいですか?
語彙がある程度たまってからです。語彙が薄い段階で過去問を解くと、知らない語だらけで実力が測れません。まず土台を作り、測るのはその後です。
S-CBTと従来型で、取れる級の価値は違いますか?
違いません。評価基準・合否判定・CSEスコアの算出方法は共通と案内されています。違うのは日程と受験形式だけです。
合格に必要なのは何割くらいですか?
英検は正答数ではなくCSEスコアで合否が決まる仕組みです。同じ正答数でも回によってスコアは変動するため、「何割で受かる」という一律の答えはありません。技能ごとのバランスを崩さないことのほうが、割合を気にするより効きます。
1つの技能だけ極端に苦手でも受かりますか?
厳しくなります。CSEスコアは技能ごとに均等配分されているため、1技能が極端に低いと他で補いにくい構造です。得意技能を伸ばすより、最も低い技能を平均へ引き上げるほうが合計は動きます。
一次が高得点なら、二次は少し崩れても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。一次と二次はそれぞれ独立して基準を超える必要があると案内されています。一次の貯金は二次に持ち込めません。
2024年より前の参考書は捨てるべきですか?
捨てる必要はありません。変更されていないリスニングや、残っているリーディング形式はそのまま練習に使えます。追加されたライティングと、準1級スピーキングの変更点は現行形式で補ってください。
まとめ:変更点を覚えるより、順番を決める
英検の2024〜2025年の改定について、変わった点と対策の順序を整理してきました。
- 変わったのは技能ごとの重さ。全体が難しくなったわけではない
- ライティングは2題で別の力を測る。同じ対策では両方取れない
- リーディングは複数の級で設問が減ったが、追加された作文への時間配分が要る
- リスニングは変更なし、スピーキングは準1級のみ一部変更
- 級はレベルではなく期限で選ぶ
改定の情報は次々に出てきますが、変更点をいくつ覚えても得点は動きません。動くのは、その変更を受けて学習の順番を組み替えたときです。
最後に、順序だけもう一度
何から始めるか決めきれないときは、ここへ戻ってきてください。
- 語彙——級の到達ラインまで。全部は覚えなくていい
- 読解——速く読むより、設問タイプを見分ける
- 作文——要約とEメールは別物。分けて練習する
- 面接——形式の再現。話すこと自体が苦手なら早めに着手
なお、本記事に記載した設問数・試験時間・級の構成は2026年7月28日に日本英語検定協会の2024年度リニューアル案内と準2級プラスの試験内容を確認した内容にもとづきます。変更されることがあるため、出願の直前には公式ページの現在の表示をご確認ください。


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