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【文型】第3文型↔第4文型 意味の違い①

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文末焦点の原理 サムネイル画像 英文法
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この記事では、〈文型〉について扱います。

学校文法で必ず学習する〈文型〉ですが、その中で次のような2つの文は同じ意味だと習ったのではないでしょうか?

2つの例文(a) Tom sent a letter to Mary.
(b) Tom sent Mary a letter.

どちらも「メアリーはトムに手紙を送った」となり、(a) と (b) は同じ意味だと説明されています。

しかしこの機械的な書き換えの裏には、わずかながらも意味の違いというものが存在するのです。

今回はこの意味の違いを扱っていきます。

第3文型と第4文型の意味の違いについて
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文型についての確認

まずは今回 扱う文の〈文型〉を確認しておきます。

2つの例文(a) Tom sent a letter to Mary.
(b) Tom sent Mary a letter.

(a)は、SVO+前置詞句の第3文型で、(b)は、SVOOの第4文型です。

冒頭の話と重複しますが、学校文法では、(a)も(b)も同じ意味で、書き換えが可能とされています。

しかしながら、言語学で「形式が異なれば意味も異なる」という理念があるように、「意味の変化を伴わない形式の変化はあり得ない」とも言われています。

そもそも(a)と(b)が全く同じ意味であるならば、なぜ(a)と(b)を別の文型として扱う必要があるのでしょうか?

今回はそんな第4文型から第3文型への書き換えに潜む意味の違いを、あるアイデアを使って考えていきます。
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今回使うアイデア

今回、意味の違いを浮き彫りにするために使用するアイデアは、〈文末焦点の原理〉というものです。

その〈文末焦点の原理〉について説明します。

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文末焦点の原理とは

 エンド・フォーカスは、以下のように定義されます。

文末焦点の原理重要なもの、焦点と見なされるものは、文末に移動される
(または文末に移動されたものは焦点化される)

要するに「大事なことは最後に出す」という原理のことです。

一般的に「英語は言いたいことを先に言う」などのように言われることが多いですが、「大事」の定義はこれからお話します。

「大事」の基準について

それでは、その「大事」とはどのような基準なのでしょうか?

ここで登場するのが〈旧情報〉〈新情報〉というものです。

言語を使用するとき、

  • 話し言葉なら、「話し手」と「聞き手」の間で、
  • 書き言葉なら、「書き手」と「読み手」の間で、

多種多様な情報が飛び回っています。

そんな情報を、

  • 「話題として既に登場したか、してないか」
  • 「話し手と聞き手で共有できているか、できてないか」

の観点から線引きすることができます。

そして、次のように定義されます。

〈旧情報〉会話や文章で既出・共有されたの情報のこと
〈新情報〉会話や文章で新出・未共有された情報のこと
この知識を押さえておきましょう。

新情報の方が「大事」

情報は〈旧情報〉と〈新情報〉に分類できることを見てきましたが、〈新情報〉の方が重要性の高い情報なのです。

もう既に知っている古い〈旧情報〉とまだ知らない新しい〈新情報〉があったら、話の焦点は〈新情報〉に置かれることは直感的に分かるかと思います。

つまり、〈新情報〉の方が大事だということは、〈文末焦点の原理〉で文の後ろの方に回されるのは、〈新情報〉だということです。

新情報〉は〈文末焦点の原理〉によって、できる限り文の末尾に回される

〈文末焦点の原理〉についての参考記事

〈文末焦点の原理〉について詳しく解説した記事を作成しました。

➤➤【機能文法】文末焦点の原理

以上で下準備は終了です。

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意味の違い

ここからは、先程の例文に〈文末焦点の原理〉を適応してみましょう。

2つの例文(a) Tom sent a letter to Mary.
(b) Tom sent Mary a letter.
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第3文型(SVO+前置詞句)

(a) Tom sent a letter to Mary.

まずは、こちらの第3文型の例文から考えてみましょう。

〈文末焦点の原理〉の観点から捉えると、焦点が当てられているのは、文末近くの Mary であると分かります。

つまり、「メアリーに何を送ったのか?」ではなく、「手紙を誰に送ったのか?」の方が関心事だと言えます。

したがって、(a)は以下の[質問]に対する[返答]だと考えることができます。

第3文型[質問] Who(m) did Tom send a letter ?
「トムは手紙を誰に送ったの?」

[返答] Tom sent a letter to Mary.
「トムは2つの手紙をメアリーに送った」
このイメージを残したまま、次の第4文型を見ていきます。
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第4文型(SVOO)

(b) Tom sent Mary a letter.

〈文末焦点の原理〉から判断すると、文の最後に置かれている a letter に焦点が置かれていることが分かります。

つまり、「手紙を誰に送ったのか?」ではなく、「メアリーに何を送ったのか?」ということが関心事になっています。

したがって、(b)は以下の[質問]に対する[返答]だと考えることができます。

第4文型[質問] What did Tom send Mary ?
「トムはメアリーに何を送ったの?」

[返答] Tom sent Mary a letter.
「トムはメアリーに手紙を送った」

(a)と(b)の違い

上の分析をまとめます。

2つの例文(a) Tom sent a letter to Mary.
(b) Tom sent Mary a letter.
新情報 焦点が当たるもの
例文(a) Tom 「送る」という行為が向けられる「人物」(移動先)
例文(b) a letter 送られる「物」

日本語に訳す時

以上の意味の違いを踏まえて、あえてわざとらしく日本語に訳すと次のようになるでしょう。

(a) Tom sent a letter to Mary.
「トムが手紙を送ったのは、メアリーにです」
(b) Tom sent Mary a letter.
「トムがメアリーに送ったのは、手紙です」
日本語でも、伝えたい大事な情報を最後に登場させると、その重要性が上がることが分かります。
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全体のまとめ

今回の記事では、第4文型から第3文型への書き換えに潜む意味の違いを見てきました。

その意味の違いは、〈旧情報・新情報〉と〈文末焦点の原理〉の観点から見出すことができました。

今回のポイントです。

  • 意味の変化を伴わない形体の変化は成立しない
    ⇒「形式が異なれば意味も異なる」
  • 〈文末焦点の原理〉によって、〈新情報〉は文の最後の方に登場する
  • 第3文型から第4文型の書き換えは、どこに焦点が当てられているか異なる
    →第3文型では、〈人〉に焦点
    →第4文型では、〈物〉に焦点
今回の記事で登場した用語もまとめておきます。
〈文型〉〈文末焦点の原理〉〈旧情報〉〈新情報〉
[参考文献]
  • Bolinger, Dwight (1977), Meaning and Form, Longman High Education.
  • Radden & Dirven (2007), Cognitive English Grammar, John Benjamins Pub Co.
  • 池上嘉彦 (2016)『〈英文法〉を考える』 ちくま学芸文庫

一緒に読んで頂きたい記事

今回は〈文末焦点の原理〉というアイデアを使って 第3文型→第4文型への書き換えに潜む意味の違いを見てきましたが、〈人間性〉という別のアイデアから説明をすることも可能です。

詳しくはこちらをご覧ください↓

 

〈新情報と旧情報〉のアイデアに関しては、こちらの記事も参考にしてください

英文法の繋がりや奥深さを実感して頂けるはずです。
今回もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。

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