この記事では、語と語の関係性の1つである〈同義性〉とその性質を有する〈同義語〉について取り上げます。
同義性(synonymy)の定義
〈同義性〉と〈同義語〉で2つ似た用語がありますが、まずは〈同義性〉の方から押さえておきましょう。
同義語(synonym)の定義
次に〈同義語〉の定義を見ていきます。
先ほどの〈同義性〉を有した2語以上の語のことを指して、〈同義語〉と呼びます。
同義性と同義語の違い
ここで〈同義性〉と〈同義語〉の区別を明確にしておきましょう。
- 〈同義性〉は、2つ以上の語の間にある「関係性」
- 〈同義語〉は、同じ意味をもつ「語」
したがって、私たちは次のような言い方をします。
big と large の間には、〈同義性〉が存在する。
big と large は、〈同義語〉である。
【補足】同義語と類義語の違い
〈同義語〉に似たような意味で、〈類義語〉というものがあります。
両者の違いは、以下のようになります。
- 同義語 =「完璧に同じ意味」を持つ2つ以上の語
- 類義語 =「ほとんど同じ同じ意味」をもつ2つ以上の語
同義語の具体例
ここからは〈同義語〉の具体例を見ていきます。
英語における同義語
英語では、以下のような〈同義語〉があります。
【young / elder (若い)】【sea / ocean (海)】【person / human (人)】
日本語における同義語
日本語では、以下のような〈同義語〉があります。
【手紙 / 便り】【幸福 / 幸せ】【寝る / 睡眠する】
同義語に関する補足説明
同義語の定義や具体例は実にシンプルで分かりやすいですが、いくつか補足説明があります。
全く同じ意味の可能性は極めて少ない
例えば、「ランチ」と「昼食」を考えてみましょう。
確かに両者の意味は近しいですが、「ランチ」の方がカジュアルで、「昼食」の方がフォーマルな印象を受けます。
このように、完璧に同じ意味を持っている同義語は極めて稀だと言われています。
文脈に応じて同義性が変化する
「big」と「large」という単語を考えてみましょう。
2つとも「大きい」と訳されることから分かるように、同じ意味を持っています。
実際に、「a big house」と「a large house」はどちらも「大きい家」という意味になります。
しかし、文脈を変えると興味深い現象が起こります。
「my big brother」と「my large brother」とでは、意味が異なるのです。
「my big brother」は「兄」という意味になり、「my large brother」は「太った弟or太った兄」という意味になります。
このように、ある範囲(場面)では「同義性が存在する」と言える語同士(big / large)であっても、その範囲を変えると、同義性が失われてしまうのです。
この点も1つ前の「完璧に同じ意味を持っている同義語は極めて稀」という話に関連しています。
全体のまとめ
今回は、〈同義性〉と〈同義語〉について扱いました。
ポイントをまとめておきます。
- 同義語とは、「同じか、ほとんど同じ意味を持つ2つ以上の語」のこと
- 全く同じ意味をもつ同義語は極めて少ない
- コンテキストが変わると、同義性が失われる場合がある
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