【機能文法】文末重点の原則(外置構文)とその具体例

文末重点の原理とサムネイル画像 英文法
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この記事では、〈文末重点の原則〉という英語における情報構造の性質を扱います。

英語の文構造に影響を与えるものの1つに、〈文末重点の原理〉というものがあります。

そして、この文末重点の原理の代表例がいわゆる〈外置構文〉です。

今回は、そんな〈文末重点の原理〉〈外置構文〉について簡単に見ていきたいと思います。

文末重点の原理とその具体例
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文末重点の原理とは

文末重点の原理とは、以下のように定義されます。

文末重点の原理複雑で長い要素は文末に移動する

よく「英語は頭でっかちを嫌うから、後ろに置く」という説明がありますが、まさにそれはこの〈文末重点の原理〉のことを指しているわけです。

それでは次にこの〈文末重点の原理〉で分析できる具体的な文法事項をみていきたいと思います。

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文末重点の原理で分析できる文法事項【外置構文】

〈外置構文〉の種類・分類は難しいところがありますが、この記事では便宜上 以下の2つを取り上げます。

外置構文の種類

  • it を用いた外置構文
  • it を用いない外置構文

このように、it の有無に基づいた観点で分類した〈外置構文〉を見ていきます。

itを用いる外置構文

「it を用いる外置構文」の1つに、it ~ that … の〈形式主語構文〉があります。

形式主語構文① It is obvious that he cannot speak English.
(That he cannot speak English is obvious)
「彼が英語を話せないというのは明白だ」
(    )内の例文は、外置を起こさなかった場合の表記です。「複雑で長い要素が文頭に置かれている」ということがお分かりいただけると思います。

この例文①では、(       ) 内の That he cannot speak English を〈文末重点の原理〉に従って文末に移動し、その空いた箇所に 形式主語のit (虚辞のit) を置いています。

この「itを用いる外置構文」に関する補足説明を2点、以下に載せておきます。

① it外置を受けるのは、that節だけではない

it に対応するものとして that節 が有名ですが、that節以外も共起します。

例えば、wh疑問詞も用いられます。

wh疑問詞It isn’t certain who will succeed the project.
「誰がそのプロジェクを引き継ぐかは定かではない」

また、to不定詞句も用いられます。

to不定詞句It is important to study English.
(To study English is important)
「英語を勉強することは重要だ」

更には、以下のような動名詞句も用いられます。

動名詞句It is an easy task getting everything ready in time.
(Getting everything ready in time is an easy task)
「全てを間に合うように準備することは簡単な仕事だ」

② 主語だけが外置移動するわけではない

「it を用いる外置構文」に関する補足説明の2つ目です。

今までの例文は全て、《主語》を〈文末重点の原理〉によって文末に移動させた〈形式主語構文〉でしたが、文末重点の原理が適用されるのは主語だけとは限りません。

つまり、《目的語》も複雑で長い要素だった場合は、主語と同様にして文末重点の原理によって文末へ移動します。

こうして生成されるのが〈形式目的語構文〉です。

形式目的語構文I think it strange that he did the work alone.
(? I think that he did the work alone strange)

「私は、彼がその仕事を一人でやったことは不思議だと思う」

そして、補足説明①でも説明した通り、it に対応するのは that節 だけではなく、wh疑問詞やto不定詞句も同様に it を受ける要素として機能します。

例として、to不定詞句を用いた形式目的語構文を見てみましょう。

to不定詞句I found it difficult to read the book.
(I found to read the book difficult)
「私は、その本を読むことは難しいと気づいた」

it を用いない外置構文

次に2つ目の種類の外置構文を取り上げます。

先程までは「it を用いた外置構文」を見てきましたが、ここからは「it を用いない外置構文」です。

実はこのタイプの外置構文の方がシンプルです。というのも、ただ文中の要素を文末に移動させるだけで、その空所を it などで補充する必要はないからです。

itを用いない外置I read a book yesterday by Shakespeare in 1600s.
(I read a book by Shakespeare in 1600s yesterday)
「私は昨日、1600年代にシェイクスピアが書いた本を読んだ」
(      )内は、外置を起こさせない場合の表記です。

上の例文では、名詞句を文末へ移動させていますが、もう少し複雑な例を出すと、以下のようなを文末へ移動させることも可能です。(句よりも節の方が大きな単位です)

節の外置The claim was made by Tom that the chairman should retire.
(The claim that the chairman should retire was made by Tom.)
「その議長は退任するべきだという主張はトムによってなされた」

この例文では、同格節を外置しています。

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国際連合宣言からの抜粋

『先住民族の権利に関する国際連合宣言』のArticle13の文を見てみましょう。

Indigenous peoples have the right to revitalize, use, develop and transmit to future generations their histories, languages, oral tradi- tions, philosophies, writing systems and literatures, and to designate and retain their own names for communities, places and persons.

下線部が〈文末重点の原理〉で移動された要素です。

本来であれば、submitという動詞は「submit+目的語+前置詞to(移動先)」という語順を取りますが、上記の例文ではsubmitという動詞の直後にいきなり前置詞句(to future generations)が置かれ、目的語はその後に続いています。

これは、「目的語が複数ある=大きくて重い」ため、〈文末重点の原理〉によって文末近くに移動させられたと考えることが可能です(実際は,andで文が続いているため文末ではありませんが)。

このように、動詞の目的語となる要素も文末重点の原理の対象となり得ます。

以上が、〈文末重点の原理〉で扱うことのできる具体例でした。

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全体のまとめ【文末重点の原則】と【外置構文】

今回は、〈文末重点の原則〉と呼ばれる英語の性質と その具体例として〈外置構文〉を見てきました。

今回の記事のポイントをまとめておきます。

  • 文末重点の原理に基づいて、複雑で長い要素は文末に移動される
  • 文末重点の原理は外置構文を関連している
今回取り上げた〈外置構文〉は、生成文法という言語学の一派から観察すると非常に面白い現象(制約)が浮き彫りになってきます。機会があれば別途記事にしたいと思います。

関連記事の紹介

今回の〈文末重点の原理〉エンド・ウェイトに似たもので、〈文末焦点の原理〉エンド・フォーカスというものがあります。

ぜひこちらも合わせてご覧ください。

➤➤【機能文法】文末焦点の原理

参考文献

  • 上山恭男 (2016)『機能・視点から考える英語のからくり』開拓社
  • 安井稔 (1983)『改訂版 英文法総覧』開拓社

 

 

今回もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。

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