この記事では、英文法の学習法について説明します。
- 英文法の具体的な学習の流れ
- 英文法のそれぞれの単元で意識するポイント
- 英文法の単元の繋がり
こんな情報をお届けします。
英文法には色々と単元や文法項目がありますが、実は順番と繋がりを意識すればとっても簡単に学習・理解することが可能です。
この記事には、英文法の学習の流れが完璧に網羅されています。「〇〇についてはこちらの記事を読んでください」のように読者の皆さんをあっちこっち移動させたりすることはありません。この1つの記事に全てを盛り込んでいます。
また、「問題集を何回も解く」などの曖昧で大雑把なことも書いてありません。極めて具体的で本質的な学習の手順をお届けします。
かなり膨大な記事構成になっていますが、確実にみなさんの英語学習に有益な情報をお伝えすることをお約束します。
当記事のメイン情報は「英文法学習法」ですが、英文法を教える立場の方にも有益な内容になっていると思っています。ぜひ「英文法教授法」の観点からもご覧ください。
この記事における「英文法」について
はじめに、『英文法』という用語の意味を確認しておきましょう。
この記事では、『英文法』に含まれるのは、以下の12個の単元とします。
Next Stage や Vintage などの「英文法学習参考書」と呼ばれるものの中には、語法・熟語や会話表現などの内容も盛り込まれていますが、ここではそれらは『英文法』には含みません。
まずは当記事での前提条件を頭の片隅に留めておいてください。
英文法の学習は「順番&関連」がとにかく大切
さて、『英文法』の定義を確認したところで、具体的な学習法について見ていきましょう。
英文法を学習する(または教える)ときは、
これに尽きると思います。
そして、具体的な単元の順番としては、以下のように4つのステップに分けて学習していくことをおすすめします。
この学習の流れの根拠と有用性を以下で詳しく見ていきましょう。
ステップ1(文型・動名詞・to不定詞)について
このステップ1には、〈文型〉〈動名詞〉〈to不定詞〉の3つが含まれています。
これら3つの文法事項を同じステップに組み込んでいる理由は、この章をご覧いただければ納得できるはずです。
〈文型〉〈動名詞〉〈to不定詞〉の3つをどのように関連付けて学習していくか、その流れをお見せします。
1-① 文型(品詞)
英文法で最初に取り組むべきは、〈文型〉です。
文型を最初に学習する目的は、以下の2つ。
- 英語は語順で情報を示す「位置言語」ということを理解する
- 品詞、そして名詞の重要性について理解する
ⅰ.英語は語順で情報を示す「位置言語」
英語という言語には、その土台にある根本的な性質が存在します。
少し小難しく感じるかもしれませんが、日本語と比較すると理解しやすくなるはずです。
このように、英語という言語では、「要素が配置される順番」、つまり語順が異なると、文全体の意味も異なってしまいます。英語にとって「要素が配置される順番」は極めて重要です。
そして、そんな重要な役割を担う「要素が配置される順番」は、大きく分けると5つに分類できると言えます。すなわち、この分類こそが〈5文型〉です。
このようにすれば、〈5文型〉へスムーズに移行できるのではないでしょうか。
さらに、全ての文型が『S(主語)+V(動詞)』という形で始まっていることを押さえておくと良いでしょう。そうすれば、5文型というのが、『V(動詞)の後に何が後続するのか』という観点で分類されていることが分かります。
以上が〈文型〉を最初に学習する1つ目の目的です。
ⅱ.品詞、特に名詞は重要である
次に、文型を最初に学習する2つ目の目的を見ていきましょう。
ここでは、その〈5文型〉に品詞を紐付けて理解することが大切です。
以下のように、5文型において、S(主語)・V(動詞)・O(目的語)・C(補語)のそれぞれのスロットに入ることができる品詞は決まっています。そして、5文型の要素としてカウントされない品詞も存在します。
このように、文型と品詞を関連付けて理解しましょう。
文型と品詞の関連性からもう1つ分かること
文型と品詞を紐付けて理解するときに、意識すべき点がもう1つあります。
もう一度、以下の図をご覧ください。
ここから分かることは、
ということです。
5文型という枠組みにおいては、登場する役割は、S(主語)・V(動詞)・O(目的語)・C(補語)の4つだけですが、名詞は、S(主語)・O(目的語)・C(補語)の3つのスロットに入ることが可能です。
このように、文型において名詞が使われる頻度が高く、名詞についての理解が必要になってきます。
以上見てきた通り、英語では名詞の登場頻度が極めて高いため、必然的に名詞の重要性が上がってきます。
そこで、次の②〈動名詞〉と③〈to不定詞〉、つまり「動詞を名詞化する方法」に入っていくわけです。
1-② 動名詞
①の〈文型〉で、英語において名詞の使用頻度が高いということを見てきました。
そこで、英語における名詞の作るための1つの手段として、〈動名詞〉という単元を学習するという流れになっていきます。
動名詞を簡潔に表現すると、
となります。
そして、〈動名詞〉は名詞の仲間なので、①の文型の話と関連させると以下のようになります。
このように、動名詞を文型の中で位置づけることが可能になります。
〈動名詞〉を2番目に学習する目的は以上の通りですが、英語には「動詞を名詞に変換するためのもう1つの手段」が存在します。すなわち、〈to不定詞〉の名詞的用法です。
こうして、次の③の〈to不定詞〉へと繋がっていきます。
1-③ to不定詞
〈to不定詞〉をこの段階で学習する理由は、「動詞を名詞に変換する手段」として〈動名詞〉と一緒に理解するためです。
そのような目的を踏まえ、まずは〈to不定詞〉の中でも〈名詞的用法〉(~すること)から着手することが望ましいです。
そして、〈to不定詞の名詞的用法〉は〈動名詞〉と同様に名詞として機能するため、
というように、動名詞と全く同じように文型の中で位置づけることが可能になります。
ここで、〈動名詞〉と〈to不定詞の名詞的用法〉の区別(性質の違い)を学習しておくと良いでしょう。
このようにして、〈to不定詞の名詞的用法〉を、動名詞と全く同じ要領で文型の中で片付けることができました。
あとは、〈to不定詞〉の残りの用法、つまり〈形容詞的用法〉と〈副詞的用法〉を理解すれば、to不定詞の9割は完成します。
to不定詞の他の用法(形容詞的用法と副詞的用法)について
〈to不定詞〉には、〈形容詞的用法〉と〈副詞的用法〉という用法も存在します。
まずは〈形容詞的用法〉から見ていくと、形容詞ということは、補語(C)のスロットに入ることが可能です。一方で、〈副詞的用法〉は5文型の中ではどのスロットには入ることができません。
以上で、〈to不定詞〉をカバーすることができました。
ステップ1のまとめ(文型・動名詞・to不定詞)
以上でステップ1(文型・動名詞・to不定詞)の説明は終了です。
ステップ1を要約すると、
ということになります。
こうして見てくると、英文法の学習ステップが非常に体系的に考えられているのがお分かり頂けると思います。この調子で次のステップ②を見ていきましょう。
ステップ2(時制・助動詞・受動態)について
次に、ステップ2について見ていきましょう。
図の通り、ステップ2に含まれる単元は、〈時制〉〈助動詞〉〈受動態〉の3つです。
それぞれの文法事項を学習する際のポイントを確認していきます。
2-④ 時制
〈時制〉には、〈現在形〉〈過去形〉〈未来形〉〈進行形〉〈完了形〉が含まれます。
最も注意すべきは現在形
この中で最も難しいのは〈現在形〉です。
〈現在形〉という用語に「現在」という語が含まれているからといっても現在形は現在だけを表すわけではありません。いわゆる「過去・現在・未来を表す習慣形」というやつです。
和訳の( )内に書かれている通り、現在形はある種の「習慣」を表します。現在形の特徴を押さえておきましょう。
進行形・完了形で使う分詞を覚える
〈進行形〉や〈完了形〉では、それぞれ〈現在分詞〉と〈過去分詞〉を使います。この段階で『動詞の活用』を暗記しておきましょう。特に不規則活用の動詞は要注意です(write-wrote-written など)。
特に〈過去分詞〉は、〈受動態〉でも使うので要チェックです。
動名詞・to不定詞における時制もチェック
そして、既にステップ1で取り扱った〈動名詞〉と〈to不定詞〉にも〈時制〉を紐付けしておきます。
「私は、かつて医者であったことを誇りに思っている」
「彼、は昔医者であったようである」
このように、〈時制〉というのは述語となる動詞だけではなく、動名詞やto不定詞のような〈準動詞〉と呼ばれるものにも適用されるということを押さえておきましょう。
以上で〈時制〉におけるポイントは終了です。
2-⑤ 助動詞
次に〈助動詞〉の学習のポイントです。
まず必ず押さえるべき点は、
という助動詞の性質です。
「助動詞+動詞の原形」という「形式」に関しては共通なので、あとはそれぞれの助動詞の「意味」や「用法」を個別に覚えていけば大丈夫です。
また、既に〈時制〉を習得しているはずなので、〈助動詞〉と〈時制〉も紐付けしておきましょう。
助動詞の過去形もそうですが、更に重要なのは『助動詞と完了形の組み合わせ』です。1つ例題を載せておきます。
「彼はその仕事を終わらせるべきだった(のに終わらせなかった)」
このような『助動詞+完了形』の組み合わせは重点的に学習するようにしましょう。
〈助動詞〉に関してはこんな感じです。それぞれの助動詞の意味や用法さえ理解すれば、非常にシンプルで学習しやすい単元だと思います。
2-⑥ 受動態
ステップ2の最後の単元は〈受動態〉です。
〈受動態〉は、英語という言語にとって重要な存在です。受動態については少し詳しく説明していきます。
受動態の役割はなにか?
まず、そもそも〈受動態〉が持っている役割は何でしょうか?
それは、英語の文構造を入れ替えることです。
ここでもう一度〈文型〉のことを思い出してください。
このように、英語では『S(主語)+V(動詞)』という順番で文が構成されます。
(ほぼ)全ての文が『S(主語)+V(動詞)』の順番で始まるという語順優位な中で、文構造を入れ替えるための手段が〈受動態〉なのです。
つまり、
これが受動態の役割の1つです。
この受動態の役割を押さえておきましょう。
以上のように見てくると、〈受動態〉という文法事項は英語にとって重要性が高いことが分かります。
受動態の役割を理解したらあとは簡単
「能動態の文構造を入れ替える」という〈受動態〉の役割を理解したら、もう受動態の学習は簡単です。
あとは受動態の形式、つまり「be動詞+過去分詞+by~」という形式を覚えましょう。
この形式を覚えるだけで受動態の85%が完成します。
残りの15%は?意識すべき3つのポイント
受動態で重点的に学習すべきポイントが3つほどあります。
まずは、『進行形+受動態』or『完了形+受動態』の表現です。この2つは、語順をしっかり覚えておきましょう。
「新しい橋が建設中だ」
「この本はまだ英語に翻訳されたことがない」
2つ目は、『群動詞の受動態』です。
「外国人に話しかけられた」
〈群動詞〉というのは「動詞+前置詞」のセット(例文ではspeak to)のことですが、これを受動態で用いる時は、「動詞+前置詞」は離さずくっつけるようにしましょう。
最後のポイントは、『前置詞by以外を用いる受動態』の表現です。
「そのホールは若者でいっぱいだった」
このような表現は他にも山程あるので、イディオムとしてしっかり覚えるようにしましょう。
長くなりましたが、以上で〈受動態〉のポイント解説は終了です。
ステップ2のまとめ(時制・助動詞・受動態)
以上でステップ2(時制・助動詞・受動態)の説明は終了です。
これら3つの共通項を挙げるならば、
となるでしょう。
ステップ3(分詞・関係詞)について
ステップ3では、以下の2つの文法事項を扱います。
この2つの文法事項に共通しているのは、
という点です。
これを意識しながら、〈分詞〉と〈関係詞〉の説明をご覧ください。
3-⑦ 分詞
ステップ3では、最初に〈分詞〉を見ていきます。〈分詞〉に関しては、役割が非常に多いので解説を詳しくしていこうと思います。
〈分詞〉を学習する時は、3つのポイントを理解することが重要です。
- 分詞の作り方を覚える(←既に習得済み)
- 分詞の形容詞としての使い方を理解する
- 分詞の副詞としての使い方を理解する(分詞構文)
1つずつ確認していきましょう。
ⅰ.分詞の作り方(動詞の活用)を理解する
〈分詞〉には、〈現在分詞〉と〈過去分詞〉の2種類があり、それらの活用を暗記することが必須です。
しかし、既にステップ2の④〈時制〉と⑥〈受動態〉で〈現在分詞〉と〈過去分詞〉は登場しているので、活用に関しては問題ないと思います。もしまだ動詞の活用表を暗記しきれていない場合は、この段階で再度復習しておきましょう。
〈分詞〉の本題はここから先の2つです。
ⅱ.形容詞としての使い方を理解する
〈分詞〉には、形容詞としての役割があります。形容詞ということは、名詞を修飾するということです。
ここで重要なのは、
という点です。
着眼点としては、
と覚えましょう。
形容詞としての分詞に関しては、この位置の規則を何としても覚えておきましょう。
ⅲ.副詞としての使い方を理解する(分詞構文)
いま上で見たとおり、〈分詞〉には名詞を修飾する形容詞としての役割があります。
しかし、〈分詞〉の役割はそれだけではなく、副詞としての役割もあるのです。それが、〈分詞構文〉です。
「明かりを消して、トムは就寝した」
この例文では、分詞構文が『連続(前後関係)』表していますが、他にも分詞構文は『時』『理由』『条件』などを表します(基本的には、「~して」と訳せば上手く繋がります)。
また、分詞構文に時制が絡んでくると複雑になります。それがいわゆる〈完了分詞構文〉です(名前は全く覚えなくて大丈夫です)。
「ロンドンに住んでいたので、彼は上手に英語を話す」
そして更には、〈独立分詞構文〉という主節と分詞構文の主語が異なる場合もあるので、更に複雑になってきます。
「目をか輝かせて、彼女はその知らせについて語ってくれた」
この〈独立分詞構文〉には、“generally speaking(一般的に言って)”、“judging from~(~から判断すると)”のような「慣用表現」も含まれるため、暗記すべき表現が多いです。
このように、ひとくくりに〈分詞構文〉と言っても、その中には様々なバリエーションがあるので注意が必要です。
だいぶ詳しく解説しすぎた気もしますが、以上で〈分詞〉についての説明は終了です。
3-⑧ 関係詞
次に〈関係詞〉について見ていきます。〈関係詞〉という用語は、〈関係代名詞〉と〈関係副詞〉の2つを指しています(その2つは同じ機能なので、今回はまとめて〈関係詞〉と呼んでいます)。
そのような〈関係詞〉をひとことでまとめるならば、
と言えるでしょう。
次の例文をご覧ください。
上のように、関係代名詞は先行詞を後ろから説明するための「修飾語句」を作っています。
ここで再び〈分詞〉の形容詞としての役割を思い出してください。
〈関係詞〉が後ろから先行詞を修飾していたのと同じように、〈分詞〉も(おまけを伴った場合は)名詞を後ろから修飾します。
これが、〈分詞〉と〈関係詞〉を同じステップで扱う理由です。
関係詞で他におさえるべきポイント
ステップ3のまとめ(分詞・関係詞)
以上でステップ3(分詞・関係詞)の説明は終了です。
〈分詞〉と〈関係詞〉は、
ということを実感していただけたでしょうか?
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ステップ4(比較・仮定法・構文・話法)について
最終ステップ4を見ていきます。
これらの文法事項に共通しているのは、
という点です。
個別の文法事項を確認していきましょう。
4-⑨ 比較
〈比較〉には、〈同等比較〉(as ~ as)と〈比較級〉(~er)と〈最上級〉(~est)の3つがあります。
この単元で最も重要なことは、
です。ありきたりなポイントで申し訳ございません。
ただ、このような結論が出るのは〈比較〉という単元の性質に関係しているのです。というのも、〈比較〉の単元は慣用表現や熟語などの覚えるべき表現が非常に多いからです。
「理解する」ことも当然重要ですが、それ以上に「覚える」ことの方が重要です。その点で、他の文法事項と関連がなく、故にこのように最終ステップに組み込まれているのです。
どんな参考書にも書かれているような当たり前の内容を根気強く覚えるしかありません。
英単語の学習と関連付けると…
4-⑩ 仮定法
次の単元は、〈仮定法〉です。
仮定法をこのタイミングで学習するのは、時制と助動詞の知識が必須になってくるからです。みなさんご存知の通り、仮定法は動詞と助動詞の時制を変えることで成立します。したがって、そのためにこれよりも前のステップ2で〈時制〉と〈助動詞〉を学習する流れを組んでいるのです。
仮定法をこのタイミングで学習する理由は以上の通りですが、〈仮定法〉を苦手とする方も多いと思うので詳しく解説しておきます。
〈仮定法〉で大切なことは以下の2点。
- そもそも〈仮定法〉とは何かを理解する
- 「意味と形式のズレ」を理解する
ⅰ.そもそも〈仮定法〉とは何か?
〈仮定法〉という単元は英文法の中でも特にイメージしにくい単元です。そのため、まずは「仮定法がどういうものなのか?」という大前提を確認しましょう。
ずばり〈仮定法〉とは、
とお考えください。
分かりにくいので具体例を出して考えてみましょう。
例えば、日本語で次のようなセリフを言っている人がいたとします。
私達は、この人のセリフから『この話し手が本当に宇宙人が存在すると思っているかどうか』ということを推測することはできません。
しかし、英語では『言語的なマーク』によってそれが可能になるのです。『言語的マーク』というのは、〈直説法〉と〈仮定法〉のことです。
このように考えてみると、
という説明が納得できるのではないでしょうか?
そして更に
こんな感じのそれっぽい理由があれば〈仮定法〉が更に理解しやすくなるはずです(ちなみに、理由は適当で何の根拠も有りません。理解しやすければそれで良いのです)。
とにかくまずは「仮定法が何なのか」という大前提を理解することを心がけましょう。
ⅱ.「意味と形式のズレ」を理解する
「仮定法が何なのか」というイメージが深まったら、次は本格的な仮定法のポイントを押さえていきましょう。
次の例文を見てみましょう。
「もし私が鳥ならば、君のもとに飛んでいけるだろう」
この例文では、和訳の通り「現在の内容」が述べられていますが、形式としては「過去の形式(時制)」が用いられれています。
このように〈仮定法〉では、「表わされている意味(内容)」と「それを表している形式(時制)」にズレが生じています。
この「意味と形式のズレ」を表にまとめてみましょう。
この意味と形式の不一致さえ理解してしまえば、仮定法には熟語や慣用表現が大量にあるわけではないので、規則性がありシンプルに学習できる「カンタンな単元」に思えてくるはずです。
仮定法には倒置が絡んでくる
〈仮定法〉を学習する上で意識すべきポイントは以上の通りですが、仮定法には倒置という現象が起こります。
条件節(if節)のifが省略されると、「倒置」(主語と動詞を入れ替える)が生じます。
「君の助けがないと、私はその仕事が終わらないだろう」
↓
Were it not for your help, I couldn’t finish the job.
このように、〈仮定法〉には「倒置」という構文の要素が絡んできます。
そこで、この流れで様々な〈構文〉を学習すると効果的です。
4-⑪ 構文
この〈構文〉というのは、次のようなものを含みます。
〈形式主語構文〉〈形式目的語構文〉などなど
- 【倒置】Not a single word did he say.
「彼は一言も言葉を発しなかった」 - 【強調】It is this bike that I have wanted.
「私が長年欲しいと思っていたのは、まさにこの自転車だ」 - 【省略】Correct errors if any.
「もし誤りがあれば訂正しなさい」 - 【同格】Tom, my elder brother, is a hard worker.
「私の兄であるトムは努力家だ」 - 【形式主語構文】It is difficult to solve the question.
「その問題を解くことは難しい」 - 【形式目的語構文】I found it difficult to solve the question.
「私はその問題を解くことが難しいと気付いた
もちろんこれ以外にも、「構文」というカテゴリーに含まれる文法事項はたくさんありますが、とりあえず「構文」というイメージを何となく掴んで頂けたらと思います。
このような細かい構文をまとめて学習しましょう。逆に言うと、これまでのステップで扱いきれなかった細かい構文や規則などをここで詰め込んでしまうというマインドセットが大切です。
この〈構文〉の範囲は覚えるべき内容が多くて大変ですが、ここを耐えれば英文法はほぼ完成します。根気強く頑張ってください。
4-⑫ 話法
ステップ4の最後の文法事項は〈話法〉です。
〈話法〉という単元には、『間接話法↔直接話法の転換』というものがあります。
⇅
[直接話法] He said, “I am happy”.
この『話法の転換』には細かなルールが大量になるのですが、この問題を出題する大学はあまりありません。TOEICやTOEFLなどでは確実に出ないでしょう。
したがって、〈話法〉に関しては、ご自身の志望校で実際に出題されている場合や学校の定期テストの範囲になっている場合に勉強すれば全く問題ないと思います。本当に優先順位は低いです。
ステップ4のまとめ(比較・仮定法・構文・話法)
さて、以上でステップ4(比較・仮定法・構文・話法)は終了です。
これら4つの単元は、使用頻度が低かったり、他の文法事項と関連がないため、最後に学習しても問題ないと言えるでしょう。
特に〈比較〉や〈構文〉に関しては、暗記すべき内容が多いので大変ですが、暗記さえすれば完成だと切り替えて取り組んでみてください。
この記事のまとめ【英文法の学習の全体の流れをおさらい】
以上で当記事の内容は全て終了です。約1万字を超える記事を最後までご覧いただき、本当にありがとうございます。
最初にお見せした『英文法の学習の手順』をもう一度見てみましょう。
最初は何の目的でこのようなステップが組まれているのか理解できない方も多かったかもしれませんが、今までの説明を踏まえると納得して頂けるのではないでしょうか?
このステップに沿って学習しながら、お互いの文法事項の関連性を意識すれば、みなさんの英文法の理解は確実に深まるはずです。
英文法の効果的な学習方法と、英文法の奥深い繋がりを実感していただけたら幸いです。
ぜひこのチャンスに!
【関連記事】英語学習の方法論
今回は「文法」についての記事でしたが、「単語」と「長文」に関する記事も作成しています。
英単語の学習法:
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当記事と合わせてご覧いただくことで、みなさんの英語学習にスパイスをお届けできたらと思います。
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